https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-46562679

【Q&A】 北アイルランド国境をめぐる「バックストップ」を解説
2018/12/14 51分前

ジョン・キャンベル、BBCニュース北アイルランド経済・ビジネス編集長

イギリスの欧州連合(EU)離脱をめぐる交渉で鍵となったのは、英・北アイルランドとアイルランドの国境問題だ。
イギリスとEUは11月に離脱協定をとりまとめ、この国境の扱いについても合意した。

双方とも、ブレグジット(イギリスのEU離脱)後にこの国境に検問所などを置く厳格な国境管理は避けたい思惑だ。

そこで「バックストップ(防御策)」が登場する。

では「バックストップ」とは?

バックストップは、英国がブレグジット後の移行期間にEUと包括的な通商協定をまとめられなかった場合、アイルランド国境を開放しておくための最終手段だ。
現在、北アイルランドとアイルランドの間で取引されるモノやサービスにはほとんど制限が設けられていない。
現時点では英国もアイルランドもEUの単一市場および関税同盟の一員なので、製品の税関検査もない。

しかしブレグジット以後は、これが変わるかもしれない。
アイルランドと北アイルランドは別々の関税・規制体系となるため、製品は国境で検査を受ける必要が出てくる。
英政府はこれを望んでいない。EUも、国境管理を厳しくしたくないと表明している。
しかし、英国が関税同盟と単一市場からの撤退を固持している以上、これは非常に難しい。

摩擦のない国境確保には

セーフティーネットを張ろうとすることもできる。
バックストップはセーフティーネットだ。ブレグジット後、包括的な協定や技術的な打開策で現行のような摩擦のない状態を保てない場合、アイルランド国境に適用される。
バックストップについて合意するのは重要だ。EUはバックストップの担保がないままでは、移行期間の設置も、中身のある通商交渉にも応じないはずだ。

11月以前のバックストップ合意は

英国とEUはどちらもバックストップが必要だとしている。両者は2017年12月の時点でこれに合意している。
また、国境を越えた協力、アイルランド島全体の経済支援、英国とアイルランドが1998年に結んだベルファスト合意の保全などで一致した。
しかしそれ以外については、双方は大きく食い違っている。
(リンク先に続きあり)