中台統一を掲げる中国と、距離を置く台湾の蔡英文(ツァイインウェン)政権との溝が深まるなか、台湾の自治体のなかで独自に中台交流を進め、経済振興を図る動きが活発になってきた。

 昨年の統一地方選で与党・民進党に大勝した野党・国民党の首長らが中心となっており、蔡政権は危機感を抱いている。

 「交流を深めるべきだ。市民は安定して商売ができることを望んでいる」(盧秀燕・台中市長)。「もっと関係を発展させ、信頼感を増すべきだ」(侯友宜・新北市長)。中国の習近平(シーチンピン)国家主席が北京で演説し、中台の「融合発展」を呼びかけた2日、台湾の国民党系首長からは前向きな発言が相次いだ。

 11月の地方選では、民進党系の現職市長らが次々と落選し、全22県市のうち15県市で国民党系の候補が勝利した。民進党の地盤だった南部高雄市で市長に当選した韓国瑜氏は選挙戦で、蔡政権下に落ち込んだ中国からの観光客を呼び戻し、特産品を売り込むと主張。市政府内に中台交流を所管する専門チームを発足させる計画だ。

 台湾海峡の離島、澎湖県の新県長、頼峰偉氏は就任前の12月に北京を訪問し、中国政府に定期便の開設を要望した。国民党の首長15人が全員で訪中する構想もある。無所属の台北市長、柯文哲氏も12月、中国上海市の副市長を招いてシンポジウムを開いた。

 中国側は地方選の結果について、「台湾の人々が両岸関係の平和的発展がもたらす『配当』を望んだ結果だ」(国務院台湾事務弁公室)と分析しており、蔡政権を飛び越え、野党や自治体、民間との直接交流を推進する構えだ。

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