■県内自治体苦慮 「20歳」維持も
民法改正で成人年齢が2022年4月から18歳に引き下げられるのに伴い、成人式の在り方について県内自治体が検討を始めた。44市町村の大半が方針を決めていないが、対象年齢を現行通り「20歳」とする方向を示す自治体も出始めている。22年度は18?20歳の「3学年」が一度に成人を迎える。同時開催は「成人の日」が18歳の高校3年生の受験時期と重なるといった複数の課題があり、各自治体は頭を悩ませている。美容室など関係する業界は2?3年後まで予約が埋まっている店もあり、早期に結論を出すことも求められている。

■大半は方針未定
成人年齢引き下げに伴う成人式の在り方に関し、県内44市町村に茨城新聞が取材したところ、大半が方針未定と回答。ただ現行の「20歳」対象を維持する方向の自治体も見られた。

土浦市の中川清市長は4日の定例会見で「はたちを祝う集いとした方が、混乱は少ないのではないか」と見解を表明。同市教育委員会は、市長の考えを基に有識者らから意見を聴き、20年度中に方針を決める。

昨年9月から検討している鹿嶋市は「現行のままが適当」(市教委)との考えだが、20年度に高校生を対象にアンケートを行うなどして、判断したいという。

行方市や龍ケ崎市も正式決定ではないが、現行維持を見通している。

■時期や会場懸念
「20歳」を対象とする方向の自治体によると、その理由はさまざまだ。

18歳の高校3年生にとって、成人式シーズンの1月は大学入試センター試験(20年度から大学入学共通テスト)がある。1月に式典を開く場合、参加は難しくなる。18歳は成人となっても飲酒は禁止されるが、式典後の会合などで羽目を外す懸念があり、行方市教委は「飲酒問題が出る可能性がある」と指摘する。

日本財団(東京)が昨年12月、全国の17?19歳の男女800人を対象に行った意識調査では、成人式にふさわしい年齢について「20歳」が7割を超えた。理由の回答から、進路が決まる時期を避けたい意識が浮き彫りになっている。

「3学年」対象を検討する場合には、会場の収容人数も問題だ。水戸市は水戸芸術館広場で式典を開いてきたが、市教委は「例年、成人と保護者でほぼいっぱい。3学年では、会場変更、学年ごとに時間や開催日をずらすなどの工夫が必要」と課題を示す。

国では、関係府省庁が連絡会議を設置。開催時期など成人式の在り方について、20年3月までにモデルケースを示す方針だ。県内ではこれを踏まえ、他市町村の動向も見ながら判断する自治体が多い。

■3年先まで予約
一方、美容室や着物の販売・レンタル店、写真館など、成人式に関係する業界からは不安の声が上がっている。

県美容業生活衛生同業組合(水戸市)の二川哲男理事長は「美容室によっては2?3年後まで予約で埋まっており、3学年同時だと予約を受けられない店が出てくる」と話す。同組合は自治体に早く方針を決めるよう求めていく構えだ。(今井俊太郎、海老沢裕太郎)

2019年1月13日(日)
茨城クロスアイ
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