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自衛隊が利用する測位衛星の運用イメージ


 政府は、米国の全地球測位システム(GPS)衛星が機能不全に陥った場合に備え、自衛隊による日本版GPS衛星「準天頂衛星」の活用を本格化する方針を固めた。中国やロシアが衛星への攻撃能力を高める中、GPSの代替機能を確保するためだ。2021年度にも海上自衛隊の護衛艦に導入する。

 各国軍の活動では、人工衛星の通信ネットワークが不可欠となっている。海自艦艇も、作戦などに必要な位置情報の把握をGPS衛星に大きく依存しており、「GPS衛星が攻撃されれば、自衛隊の運用がまひする恐れがある」(防衛省幹部)とされる。

 日本とアジア・オセアニアの上空を8の字形に周回する準天頂衛星は、日本独自の測位衛星だ。これまでに4基が打ち上げられ、昨年11月に本格的な運用が始まった。23年度頃に7基体制となり、日本周辺では米国のGPSに頼らない測位が可能となる。

 海自では現在、敷設艦と潜水艦救難艦の2隻に準天頂衛星の受信機を先行的に設置し、運用を行っている。これを踏まえ、政府は21年度をメドに、いずも型護衛艦など4隻のヘリコプター搭載護衛艦に受信機を設置する方向だ。ほかの護衛艦や潜水艦、航空機、ヘリコプターなどにも順次、受信機を搭載する案もある。

 自衛隊と在日米軍が共同で、準天頂衛星を利用できる方法も検討する予定だ。

読売新聞 2019年1月16日 14時31分
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