2019年01月20日 06時00分
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豪州の家庭のプールから助け出されたニシキヘビ。ようすがおかしい…?(Gold Coast and Brisbane Snake Catcher)

 オーストラリア北東部で500匹以上のダニに噛まれて、貧血状態のニシキヘビが助けられた。最初はウロコの病気かと見間違えたヘビの体の表面には、たくさんの血を吸ってパンパンに膨れ上がったダニがしがみついていたという。

 可哀想なヘビが救出されたのは、クイーンズランド州のゴールドコースト郊外。今月9日、この家の住民が庭のプールの縁に浮かぶ1匹のカーペットニシキヘビを発見し、ヘビの捕獲を専門とする「ゴールドコースト&ブリスベン スネークキャッチャー」に連絡した。

■ ウロコの異常か?

 現場に駆けつけたトニー・ハリソンさんが水の中からヘビをすくおうとしたとき、本来はなめらかなはずの頭部と体に、ボコボコと盛り上がった小石のようなものが張り付いているのを発見。目を凝らして見るとそれらはモゾモゾと手足を動かしていて、ひとつひとつが吸血ダニであることがわかった。

「ヘビの専門家になって26年目ですが、こんなのは見たことがない」とトニーさん。捕まえたニシキヘビは貧血状態に陥っていたことから、近くの野生生物病院財団に搬送。カルンビン病院の獣医によると、ニシキヘビは深刻な貧血状態で、全身には計511匹のダニが取り付いていた。ヘビは「Nike」と名付けられ、1週間が経過した現在も治療を受けているという。
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最初はウロコの病気に見えたが…(Gold Coast and Brisbane Snake Catcher)

 一般的にダニはイヌやネコなどの哺乳動物に寄生するが、米テネシー農業大学の昆虫学者レベッカ・トラウト・フリュクセル(Rebecca Trout Fryxell)さんや、カリフォルニア州立工芸大学の生物学者エミリー・テイラー(Emily Taylor)さんらによると、野生のヘビや爬虫類の3割で、マダニの寄生が見つかっているという。

 今回、オーストラリアで見つかったヘビが、多くのマダニに寄生されていたのは、以前から病気にかかっていたためにヘビの免疫抵抗システムが弱っていた可能性が高いと指摘している。

 マダニが動物を噛むと、唾液を通じて血液が凝固しないような物質を送り込む間に、マダニを殺したり、自己防衛システムを働かすことができるが、このヘビはそもそも抵抗力が低下していたために、マダニに寄生されるがままになって、卵を産み付けられたのではないかと推測している。

 専門家は「ヘビがプールで見つかったのは、本能的に寄生虫を水中で振り払おうとしたのかもしれません」とテイラー氏は言う。カルンビン病院によると、Nikeは貧血とマダニ感染症から完全に回復するまで、数カ月はかかる見通しだという。
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吸血してパンパンに膨らんだマダニ。これでもまだ半分(Gold Coast and Brisbane Snake Catcher)