0001僕らなら ★
2019/01/25(金) 09:35:28.86ID:tkh1ih6R9* * *
麻痺。2019年は、この言葉がよく似合う幕開けとなった。
アメリカでは、メキシコとの間の壁の建設費問題で、トランプ大統領と議会下院で多数を占める民主党が四つに組んで動かない。おかげで、政府機関の広範な閉鎖状態が続いている。行政機能の麻痺状態だ。
フランスでは、黄色いベスト群団が大奮戦を展開してきた。それによって、増税策の撤回を始め、マクロン大統領が諸政策の見直しを余儀なくされている。政策的麻痺状態が現出している。
イギリスでは、EU離脱の手順と形を巡って、賛否が錯綜(さくそう)を極めている。国を挙げて知性の麻痺状態に陥っている観がある。
イタリアでは、跳ね返り者のポピュリストたちが政府を形成している。彼らのおかげで、経済社会的麻痺現象が常態化している。ドイツでは、バランス感覚絶妙なるメルケルさん時代がたそがれ時を迎えた。それに伴って、麻痺の帳(とばり)がするすると下りてきている雰囲気濃厚だ。
中国は、グローバル経済の成長牽引役を長らく演じてきた。だが、どうやら、まさしくその成長機能が麻痺を来しつつある。中国経済から成長という要素が抜けると、一体何が起こるのか。動いていなければ静止していられない。中国経済は、ここまで一貫して、そんな自転車操業状態の軽業的綱渡りを続けてきた。軽業ができなくなると、綱渡りはどうなるのだろう。
なぜ今、諸々の麻痺があちこちで発生しているのか。麻痺から脱するには、何が必要なのか。
麻痺の発生要因は、要するに行き詰まりだ。今までのやり方が通用しなくなっている。これまでの主流的なものが否定されている。当たり前だったことが、当たり前ではなくなっている。
このような時に、起こることは何か。麻痺を打破するものは何か。それは、基本的に革命だ。「これまで」と「これから」の結節がうまくいかない時、麻痺が発生する。この麻痺状態を解凍するのが革命だ。
21世紀が序盤から中盤に入ろうとするところで麻痺が来た。「これまで」の終焉場面だ。ここを「これから」に繋げる革命とは、どのような革命か。それを見極めることが今年の課題となりそうだ。
※AERA 2019年1月28日号
https://dot.asahi.com/aera/2019012300058.html