2019年1月28日
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 がん細胞への攻撃力を高める11種類の腸内細菌を見つけたと、慶応大の本田賢也教授、田之上 大たけし 専任講師(腸内細菌学)らのチームが発表した。

 これらの細菌をがん治療薬と一緒にマウスに投与すると、腫瘍の増殖を大幅に抑えられた。新たながん治療法につながる可能性がある成果で、論文が英科学誌ネイチャーに掲載された。

 チームは、「CD8T細胞」という免疫細胞を活性化する11種類の腸内細菌を、健康な人の便から見つけた。

 これらの細菌を、昨年ノーベル賞を受賞した 本庶佑ほんじょたすく ・京都大特別教授の発見から生まれたがん治療薬「免疫チェックポイント阻害薬」と共に、皮下に腫瘍を植え付けたマウスに投与した。その結果、薬だけで治療したマウスの腫瘍に比べ、腫瘍の大きさは半分以下に抑えられたという。

 投与した腸内細菌が免疫細胞を活性化させ、治療効果を高めたとみられる。

 本田教授らは、11種類の腸内細菌の特許を取得した。米国の新興企業が、これらの細菌を使ったがん治療の臨床試験を米国内で計画しているという。

 腸内細菌に詳しい大野博司・理化学研究所チームリーダーの話「腸内には様々な種類の免疫細胞が存在し、腸内細菌と相互作用することが知られている。今回の成果はその一端を解明したもので、がん治療での臨床応用も期待される」