脱北女性に日本国籍、東京家裁が「就籍」を許可
2019年01月29日 07時43分
https://www.yomiuri.co.jp/national/20190129-OYT1T50011.html?from=ytop_main4

 北朝鮮で生まれ脱北した30歳代の女性が、日本国籍を求めて新たに戸籍を作る「就籍」を申し立て、東京家裁(金友宏平裁判官)が許可したことがわかった。女性の代理人を務めた山下敏雅弁護士らによると、脱北者の就籍が認められたのは初めてとみられる。

 山下弁護士によると、女性は1990年代に脱北し、韓国などを経て、2012年から日本で暮らしている。
 脱北者は従来、日本国籍を得るため法務局に帰化を申請していたが、認められるには経済的安定などの条件がある。収入が不安定だった女性は昨年4月、就籍を同家裁に申し立てた。
 女性の母親は戦後の帰還事業で北朝鮮に渡り、日本国籍を持っていた。しかし、女性は母親との血縁関係を証明する書類を所持していなかったため、自身の半生をまとめた陳述書や親族の証言を提出。同家裁は昨年10月30日付の決定で「陳述は具体的で、親族の説明とも矛盾しない」として親子関係を認め、女性はその後、日本の戸籍に登録された。
 山下弁護士は「脱北者が日本国籍を得る新たな選択肢が示されたことには意義がある」と話す。脱北者を支援する北朝鮮難民救援基金(東京)によると、日本では少なくとも200人の脱北者が暮らし、3割強が帰化などで日本国籍を得ているという。