野生化した外来「リス」、果物も電話線もかじる
2019年01月29日 17時50分 読売新聞
https://www.yomiuri.co.jp/eco/20190129-OYT1T50031.html

 野生化した外来種タイワンリスの生息域が浜松市で拡大し、庭木の果物や樹皮をかじられる被害が出ている。農作物や林業への被害、在来のニホンリスへの影響も懸念される。市は被害対策を学ぶシンポジウムを開催するなど啓発に乗り出した。


 タイワンリスは台湾や東南アジアが原産で、国内に持ち込まれ、逃げ出すなどして野生化したとみられる。

 静岡県にも生息域を広げ、県によると、伊東市から下田市にかけては、かんきつ類の食害やシイタケのほだ木がかじられるほか、電話線がかじられる被害が起きている。

 浜松市では森林づたいに生息域を広げ、現在は北区を北限に計約1万匹が生息していると市は推計する。庭のミカンや柿をかじられたり、樹皮がはがされたりといった被害が報告されている。
今後、全国ブランドの「三ヶ日みかん」や、スギやヒノキの「天竜美林」への被害が心配される。ニホンリスの餌を奪い、生息域を脅かす恐れもある。

 市では「姿が愛らしく、住民が餌を与えたことで増殖につながったのではないか」とみる。そこで森林総合研究所多摩森林科学園(東京都)と共催で2月2日、タイワンリスの被害や対策を専門家らが説明する一般向けシンポジウムを浜松市中区中央の市地域情報センターで開く。

 市環境政策課の担当者は「問題を放置すれば取り返しのつかない状況になる。かわいいだけでは済まされない」と話し、参加を呼びかけている。

 市はまた、翌3日、タイワンリスの捕獲講習会を市内で開催する。わなの使い方や設置の方法、捕獲や運搬のルールを学ぶ。市民に捕獲に協力してもらい、生息域の拡大を食い止める狙いだ。定員の20人を大幅に上回る申し込みがあり、同課では「問題への関心の高さがうかがえる」としている。

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 2月2日のシンポジウムは午後4時半〜6時半で定員150人、参加無料、申し込み不要。問い合わせは浜松市環境政策課(ソースでご覧下さい)へ。

タイワンリス 尾を含む体長が40センチ程度とニホンリスより一回り大きい。飼育や運搬を禁じた特定外来生物に指定されている。本州のほとんどの地域と四国、九州地方の一部に生息している。