2016年、日本が敗れフランスに発注されたオーストラリア「次期潜水艦」の建造計画が覆るのではないかと報じられ始めた。当時、選定の最終段階でフランスが自国原潜のジェット水流の推進装置を転用するとのカードを切り、現地生産方式で豪州経済への波及効果も大きいという巧みな宣伝も功を奏して商戦を制した。しかし、建造するための豪仏両国の「戦略的パートナーシップ協定」が細部を詰められないまま交渉が難航。通常動力型として10年間の運用実績がある海上自衛隊「そうりゅう型」をやはり導入すべきとの意見もオーストラリア国内にあるという。この背景は何だろうか。(共同通信=柴田友明)

日仏の売り込みは当初、日本の方が優位とみられていた。通常動力型はディーゼルエンジンで蓄電池にためた電力で、可能な限り音を立てない水中行動が求められる。海自潜水艦はその「静粛性」で世界トップレベルと評価されてきた。

 特殊に研磨されたスクリュー、スターリングエンジンという外燃機関を使った補助装置を採用した「そうりゅう型」は、空母打撃群、原潜を中心とした作戦行動をする米海軍からの信頼も厚かった。当然オーストラリア側も支持していたはずだった。

 だが、「安全保障面で連携する日米と、最大の貿易相手である中国との間で揺れ続けた」(2016年4月26日共同通信)というオーストラリア側の事情も判断に影響したとみられている。16年2月には中国の王毅外相がオーストラリア外相に「日本は第2次大戦の敗戦国。武器輸出を規制されてきた歴史的経緯を考慮すべきだ」と発言、海自方式≠選択肢に入れていた豪州側をけん制する動きもあった。日米にとっては中国側から「横やり」を入れられたという認識もある。

 オーストラリアにとってフランス側の提案、中国との関係を考えた方針だったが、政策判断したターンブル首相がその後退陣。現在、稼働させているコリンズ級潜水艦の老朽化に対応するため、まだ建造されてもいないフランス方式の潜水艦より既成の海自を選ぶべきとのムードが生じているという。

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2019/1/31 19:311/31 19:54updated
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