村田製作所が31日発表した2018年4〜12月期の連結決算(米国会計基準)は、純利益が前年同期比40%増の1684億円だった。電装化が進む自動車向けの電子部品が伸び、スマートフォン(スマホ)向けの鈍化を補った。19年3月期に純利益で前期比44%増の2100億円を見込む従来予想は据え置いた。

4〜12月期の売上高は前年同期比18%増の1兆2160億円だった。先進運転支援システム(ADAS)や電気自動車(EV)の広がりに伴い、車載機器向けは30%増収。スマホ向けを含む通信部門は大手スマホメーカーの生産調整が響き、9%増にとどまった。

営業利益は55%増の2250億円。主力の積層セラミックコンデンサー(MLCC)は車載機器向けや、あらゆるモノがネットにつながるIoTの機器向けに引き合いが強まっている。工場操業度の上昇やコスト削減の寄与で採算も改善した。

電子部品大手では日本電産など19年3月期の業績予想の下方修正が相次いでいる。こうした中で村田製が従来予想を維持できたのは「高級スマホの売れ行きを保守的にみるなど、もともと慎重な予想だったうえ、受注残高が積み上がっている」(竹村善人取締役)ためだ。車載機器向けに経営資源を注いだ効果も出ている。

米中貿易摩擦については「短期的には(事業環境が)動くが、長期的な部品需要という点では大きな影響はない」(同)との見方を示した。車載機器向けやIoT機器向けに加え、次世代通信規格「5G」関連の部品需要も拡大すると見込むためだ。

2019/1/31 20:30
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40730230R30C19A1DTB000/