自民党文部科学部会と知的財産戦略調査会の合同会議は22日、漫画などの海賊版対策として違法ダウンロードの対象を拡大する著作権法改正案を了承した。違法なダウンロードとなる対象を、現行の音楽や動画から漫画や雑誌などを含む全著作物に拡大することが柱。刑事罰の適用は、常習的に違法ダウンロードを繰り返すという悪質な行為に限定した。

改正案は、無許可でネットに投稿された漫画や写真、論文など、著作権を侵害していると知りながらダウンロードする行為を違法とした。スクラップ代わりに撮影して保存する「スクリーンショット」も撮影する対象物が、著作権を侵害していると知っていれば違法になる。

刑事罰の具体的な対象行為を「反復して繰り返した場合」として、常習的なものであることを強調。例えば、アニメキャラクターなど著作物の海賊版のダウンロードを繰り返したうえで、ネット上で流通させるなどした場合は、著作権を侵害したとみなされ、刑事罰に問われる可能性がある。

実際、学術論文などの文書はネット上に大量に掲載され、日常的に保存することも多く、ネットを使った情報収集などに課題を残しそうだ。

刑事罰は、被害者の告訴がないと起訴できない「親告罪」にとどめ、2年以下の懲役か200万円以下の罰金、またはその両方が科される。漫画家らが著作物侵害を受けたと捜査当局に被害を訴えた場合のみ、刑事罰に問える。

一方で、一般のネット利用者が著作物と知らないまま、一時的にダウンロードした場合など意図的、常習的でないケースは、刑事罰の対象とならない。

文化審議会の海賊版対策の報告書には、刑事罰の対象として、著作物の「丸ごとコピー」を例示していた。複数回に分ければ複製できてしまうことから、改正法案には盛り込まなかった。漫画などに登場する人物などを使った「二次創作」も刑事罰の対象とはしない。

このほか、今回の改正案には海賊版サイトへ誘導する「リーチサイト」の開設、運営に加え、海賊版サイトの情報提供の禁止も盛り込んだ。運営者には5年以下の懲役か500万円以下の罰金、またはその両方を科す。

コンテンツ海外流通促進機構(東京)の推計では出版業界の海賊版による被害は約4000億円にのぼる。海賊版を放置すれば、作家や出版社の収入減に一段と拍車がかかりかねない。

2019/2/22 21:04
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41608880S9A220C1EA1000/

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