茨城県は、河川内樹木の伐採で発生した伐採木を無償提供する取り組みを始めた。これまで県は、大量に出る伐採木を再資源化施設や処分場に運搬し、費用を負担して処分を行ってきた。しかし、近年、家庭で薪(まき)ストーブが普及したことを背景に、燃料としての需要増を見込み、昨年12月に試験的に引き取り手を募集すると応募が殺到。主に薪ストーブ利用者らから人気を集め、県としても運搬や処分にかかるコストが削減される上に「資源の有効利用が図られて地球にも優しく“一石三鳥”」(県河川課)と効果を挙げている。

河川内では、土砂がたまった場所や堤防の法(のり)面などで樹木が繁茂し、その樹木に洪水時にごみなどが引っかかって流れに悪影響を及ぼすほか、ごみの不法投棄を助長する恐れがあるとして河川管理上の問題となっていることから、定期的に伐採されている。また、河川の改修工事の際にも伐採木が多く出る。県ではこれまで、県管理河川において、民間業者に委託するなどして樹木を伐採して、処分先まで運搬し、費用を払って処分を行っていた。処分先は主にチップ化する再資源化施設などだが、受け入れに余裕がない場合は焼却処分されていた。

定期的に県の負担となる伐採木の運搬費や処分費は課題だったが、省エネ対策やデザイン性の人気などによる一般家庭での薪ストーブの普及によって“ごみ”は“宝”に変わった。「どのぐらい需要があるか正直分からなかった」(県河川課)というが、試験的に伐採木の引き取り手を募集すると、たちまち引き取り手の枠はいっぱいになった。

河川内の樹木は、クヌギやケヤキ、スギ、ニセアカシア、竹など多くの種類がある。今回は、大子町の久慈川や水戸市の桜川、稲敷市の小野川などで0・5〜4メートルの伐採木約3千本を配布している。伐採木が山積みになった各配布場所には、引き取り手が軽トラックなどで訪れているという。同課によると「ぜひこれからも続けてほしい」と引き取り手に好評を得ている。

今回の引き取り手の募集枠はすでにほとんど埋まっているが、桜川市の桜川でのみ配布している竹についてはまだ余裕があるという。同課は「竹は農業用資材として活用できるのではないか」と呼び掛けている。

全国的に見ると、伐採経費も縮減しようと、伐採から持ち帰りまでを募集している自治体もあるが、本県では作業の危険性を懸念して実施していない。

同課によると、河川内樹木の伐採時期は、台風や梅雨などの増水期を避け、薪ストーブ燃料として最適な乾燥した樹木が採れる冬季が適しており、来年度も同時期に予定しているという。

茨城新聞 2/25(月) 5:00
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190225-00000004-ibaraki-l08