沖縄の民意を受け止めろ――。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に伴う埋め立ての是非を問う県民投票から一夜明けた25日、辺野古では投票結果を無視するように土砂などを積んだダンプカーが次々とキャンプ・シュワブに入って行き、ゲート前に集まった市民ら約40人が「沖縄に向き合え」と怒りの声を上げた。


 午前9時前、ゲート前で同県読谷村(よみたんそん)の山内慶一さん(69)が「県民投票の結果は反対が圧倒した。安倍政権は潔く(工事から)撤退するべきだ」と声を張り上げると拍手が飛んだ。中には「新基地反対72%」と大きな見出しが載った沖縄の地元紙の1面を掲げ、県民投票の結果をアピールする市民の姿もあった。

 ところが、その約30分後には、辺野古の海を埋め立てるためダンプカーなど数十台の工事車両がゲート前に到着。市民らは「これだけの民意が示されたのに翌日から工事をして恥ずかしくないのか」と声を張り上げ、二重三重の人の壁を作ったが機動隊員に排除された。

 同県宜野座村の無職、仲村勝彦さん(76)は「翌日から工事に入るなんて、こんなばかなことはない。民意を踏みつぶす政治は許せない」。安倍晋三首相が25日朝、県民投票の結果を「真摯(しんし)に受け止める」と述べつつ、「これ以上、先送りすることはできない」として、改めて移設を進める考えを表明したことについて、同村の建設業、福島皎裕(こうゆう)さん(68)は「怒りを通り越して悔しい気持ちだ」と声を震わせた。

 一方、沖縄平和運動センターの山城博治議長(66)が「不条理を沖縄に閉じ込める時代は過ぎた。沖縄の怒りを全国、世界に示そう」と呼びかけると、市民らは気持ちを入れ替えるように拳を振り上げた。【蓬田正志】

毎日新聞2019年2月25日 11時28分(最終更新 2月25日 11時29分)
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