トランプ米政権が、中国の華為技術(ファーウェイ)を次世代移動通信方式「5G」から排除する動きに欧州が揺れている。スペイン・バルセロナで25日開幕した携帯電話関連の国際見本市「MWC」で華為は自社製品をアピール。華為の排除で5Gの普及が遅れかねないと懸念する向きもある。

 「米国による安全保障についての非難は証拠がない」。華為の取締役副会長の郭平氏は26日、見本市会場での講演で、1千人を超す通信業界幹部らを前にトランプ米政権による華為排除の動きを批判した。郭氏は自社の5G製品の性能の高さを強調。不正行為は一切ないとし、「最高の技術、さらなる安全を求めるなら華為を選んでほしい」と訴えた。

 自社ブースでは、華為製基地局を採用した英ボーダフォンのバルセロナ市内の5G通信網と華為の5G対応の新型スマートフォンをつなぎ、市内のリアルタイムの動画を高画質の8K映像で映し出すデモを実施。4Gの100倍の通信速度を持つ5Gの魅力と自社製品の性能をアピールした。

 華為が強気の姿勢を示すのは、欧州やアジアでも幅広い顧客層を持つためだ。24日には韓国LGグループの携帯電話会社と5G通信網の整備で協力を深めると発表。同日の華為の顧客企業向けのイベントにはスイスやノルウェーの通信会社幹部が登壇し、協力関係を強調した。

 5G製品などを扱うワイヤレスソリューション部門の周躍峰・最高マーケティング責任者は25日、朝日新聞などの共同インタビューで、安全面への不安の高まりを受け、欧州の企業が華為製品の安全性評価などができるセンターをベルギーに設ける考えを示した。一方で、華為排除の動きは「政治的な理由」との見方を示し、「本当に(排除)するなら、(競争が弱まって)自国の通信市場の発展を遅らせることになるだろう」と警告。安全面への批判が続いていることも「我々のブランドを世界で高めている」とし、メディアなどでの露出が知名度向上につながっているとの見方も示した。

 世界規模で通信システムが入れ替わる5Gへの移行は、華為の通信機器を世界規模で広める千載一遇の好機だ。華為の創業者の任正非(レンチョンフェイ)最高経営責任者(CEO)は18日の英BBCのインタビューで「米国が我々を信認しないなら、さらに大きな額の投資を米国から英国に移す」と牽制(けんせい)した。華為排除を米国外にも広げようとする米政権の圧力に全力で対抗する構えだ。

 華為の強気の背景には、米政権…残り:1210文字/全文:2219文字

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2019年2月27日07時00分
朝日新聞デジタル
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