■外環道の開通が契機に?

 NEXCO東日本が管理する京葉道路の一部区間で、2019年3月1日(金)より、最高速度が60km/hから80km/hに引き上げられました。

【図解】京葉道路で進む「渋滞緩和策」
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 対象は千葉県内の京葉市川IC〜船橋料金所間、約3kmです。京葉道路は現在、首都高7号小松川線との接続点から千葉市の穴川ICまでが最高速度60km/h、穴川ICから館山道との接続点までが最高速度80km/hとなっていますが、京葉市川IC〜船橋料金所間以外は現状のまま据え置かれます。最高速度引き上げの理由を千葉県警交通規制課に聞きました。

――なぜ最高速度を引き上げるのでしょうか?

 京葉道路では、実勢速度(クルマが走行する平均的な実際の速度)が規制速度を上回っている状況です。「より合理的な交通規制の推進」という、警察庁が掲げた方針のもと、全国的に最高速度の見直しが進められており、そのなかで検討されました。

――なぜ京葉市川IC〜船橋料金所間だけなのでしょうか?

 この区間は全て片側3車線であり、渋滞や事故も少ないためです。当初は2018年6月、外環道の千葉区間(三郷南IC〜高谷JCT)が開通し、京葉道路に接続するのと同時に引き上げることも検討されていましたが、影響を見てからということになりました。結果、従前と大きな変化はなかったため、行楽シーズンを避けたタイミングでの実施に至りました。

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 千葉県警は2017年2月にも、一般道である国道464号「北千葉道路」の一部区間(印西市内)を、最高速度60km/hから70km/hに引き上げました。また、千葉県以外では京葉道路と同じく2019年3月から、新東名と東北道の一部区間で最高速度を110km/hから120km/hに引き上げる試行も開始。このように、全国で速度規制の見直しが進められているのです。

■昔も最高80km/hだった!?

 千葉県警交通規制課によると、最高速度の「引き上げ」は、県内の高速道路や有料道路では初めてとのこと。しかし実は、千葉県内における京葉道路の最高速度60km/h区間は、かつて最高80km/hでした。

 というのも、1970年代に沿道地域から騒音に対する苦情が寄せられ、60km/hに引き下げられたのだそうです。今回、京葉市川IC〜船橋料金所間で引き上げの実施に至ったのは、高さ8mに及ぶ遮音壁の設置がほぼ完了し、騒音の影響が低減されていることも理由のひとつだといいます。

 しかし、ほかの区間は遮音壁の整備も十分ではなく、道路構造や騒音の問題、渋滞の状況などから、引き上げの判断には至ってはいないそうです。

 今後、ほかの区間でも最高速度の引き上げはあるのでしょうか。千葉県警交通規制課は、「状況の変化を見ながら、道路管理者と協議のうえで見直しを進めます」と話します。

 NEXCO東日本によると、京葉道路では特に船橋料金所より東の千葉市側、船橋料金所〜武石IC間の上り線で、朝夕の通勤時間帯を中心に慢性的な渋滞が発生。このため同区間では現在、IC前後の加速・減速車線を延長したり、それらをつないだりして車線を増やす工事(付加車線の整備)が行われています。

 こうした車線の増設による渋滞対策は、すでに穴川IC〜貝塚IC間の下り線でも行われており、2016年に整備が完了した同区間では、渋滞発生回数が約8割、渋滞時間が約7割減少したそうです。

 千葉県警交通規制課によると、「付加車線などの対策により、船橋料金所から東側の区間でも渋滞も緩和されてきています」とのこと。今回の区間以外でも将来、最高速度の引き上げが実施されるかもしれません。

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2019.03.01
乗りものニュース
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