日本に住民登録している義務教育年齢の外国人のうち、1万6000人以上が学校に行っているか確認できていない問題で、文部科学省は来年度、初の全国実態調査に乗り出す方針を固めた。4月の改正入管法施行で「外国籍児」がさらに増加すると予想される中、就学機会の確保を徹底する必要があると判断した。全国の1741自治体に就学不明児の人数を照会し、全体像を確認。就学状況の把握に向けた取り組みの有無も調べる。【奥山はるな、堀智行】

調査は4月以降、自治体の協力を得て実施する。住民登録がある6〜14歳の外国籍児のうち、学校に行っているかどうか分からない就学不明児を集計すると同時に、自治体が就学状況を把握するための戸別訪問などに取り組んでいるか調査する。先進的な事例を紹介し、他の自治体に導入を促すことも検討する。

日本人の場合、保護者は憲法で子どもに教育を受けさせる就学義務を負うが、外国籍は対象外で受け入れるかどうかは自治体に委ねられている。そのため就学不明や、学校に行かない不就学となる外国籍児は少なくない。毎日新聞が昨秋、外国籍児の多い上位100自治体を対象に実施したアンケートでは、外国籍児約7万7500人のうち、2割にあたる約1万6000人が就学不明だった。

外国籍児の多い浜松市や岐阜県可児市などは、就学状況を把握して就学を促すため、戸別訪問や外国人学校への在籍確認、出入国履歴の確認といった独自の調査を進めてきた。一方、就学義務がないことなどを理由に、事実上、放置したままの自治体もあり、対応には温度差がある。

文科省は2005〜06年度、外国籍児の多かった1県11市の協力を得て、就学不明の外国籍児の世帯を戸別訪問し、112人の不就学児の発見につなげた。不就学調査はその後、希望する自治体に補助する形で断続的に行われてきたが、全国調査は実施されたことはなかった。

文科省の担当者は「全国の外国籍児の就学状況を明らかにし、結果を分析することで、就学機会を確保するために何が必要か課題を見つけたい」と話している。

3/5(火) 7:00
毎日新聞
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