コカインを施用したとして、ミュージシャンで俳優のピエール瀧氏(51)が麻薬及び向精神薬取締法違反で逮捕された。自宅の捜索では薬物こそ発見されなかったが、尿検査で陽性反応が出た。容疑を認めているという。

 ハリウッド俳優が使うなど「セレブドラッグ」とも呼ばれるコカイン。犯罪モノの映画で描かれているように、粉状だとガラス板の上に並べて鼻から吸引し、固形のものだと火で炙ってガラス管で煙を吸ったり、水タバコで吸うやり方が通常だ。

 陶酔感や活力感、多幸感などを覚え、刺激にも敏感になるが、せいぜい5〜10分、長くても30分程度で効果が切れ、今度は鬱状態になり、それが嫌で繰り返し使うようになると言われている。失うものが多く、絶対に手を出さないほうが身のためだ。

 わが国の場合、営利目的のない単なるコカイン施用だと、最高刑は懲役7年だ。これから勾留の上で捜査が進められることになるだろうが、いつから、どの程度の頻度で、1回あたりどれくらいの量を施用していたのかといった薬物に対する常習性や親和性のほか、その動機、入手経路などが捜査のポイントになる。

 ただ、この事件だけであれば、起訴後は保釈が認められるのではないか。初犯であり、所持の余罪もないとすれば、弁護側が薬物と手を切る具体的な方策を示すことで、裁判では懲役1年6月、執行猶予3年といった量刑となるだろう。

 以前から「麻取(まとり)」こと厚生労働省関東信越厚生局の麻薬取締部からマークされていたようなので、すでに検挙されている密売人や施用仲間から何らかの情報提供があったのかもしれない。今後、芸能界関係者が芋づる式に検挙されるか否かも注目される。(了)

3/13(水) 7:17 前田恒彦 | 元特捜部主任検事
https://news.yahoo.co.jp/byline/maedatsunehiko/20190313-00118025/