国連安全保障理事会の専門家パネルは北朝鮮に関する報告書を公表し、北朝鮮が核とミサイル開発を継続し、日本などアジアの仮想通貨市場へのサイバー攻撃や船から船に積み荷を移し替える方法で、違法に資金や資源を獲得していると指摘しました。

報告書は北朝鮮の核やミサイル開発の資金を断つため、安保理が採択した制裁決議の実施状況を調査する専門家パネルが先月まとめたもので、11日、公表されました。

それによりますと、北朝鮮のニョンビョン(寧辺)にある核施設は今も稼働しているとしたうえで、その根拠について去年2月から11月までに撮影された衛星写真から、排水溝を掘削している様子が確認できたほか、軽水炉の近くに新たな建造物を発見したとしています。

また、首都ピョンヤン近郊のカンソンに核燃料のウランを濃縮する施設があるとみられ、近くでウランの採掘作業が継続されているとして、新たな核施設の存在にも言及しています。

一方、資金の獲得については、洋上で船から船に石油製品などの積み荷を移す、いわゆる「瀬取り」の疑いで、50隻の船舶と160社の船会社を調査しているとしたうえで、パナマやシンガポールなど多くの船籍の貨物船が関与しているとしています。

また北朝鮮は、おととし1月から去年9月までにアジア諸国の仮想通貨市場に少なくとも5回のサイバー攻撃を行い、5億7000万ドル、日本円でおよそ630億円を盗みとったと指摘しています。

とくにそのほとんどは、去年1月に起きた日本の仮想通貨交換会社に対するサイバー攻撃だったとしていて、北朝鮮が制裁違反を繰り返している実態が改めて明らかになりました。

2019年3月12日 15時58分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190312/k10011845371000.html?utm_int=detail_contents_news-related_002