ウォンバットをご存じですか?オーストラリアに生息する有袋類で、かわいらしい姿が特徴です。観光客のなかにはSNSに投稿する写真を撮ろうと異常に接近したりむやみに触ったりする人もいます。しかしウォンバットは野生動物。つねにかわいい顔のままなのでわかりにくいかも知れませんが、本当は嫌がっているんです。SNSへの投稿をめあてに写真を撮ろうとする人たちによる野生動物の被害は世界各地に広がっています。生態に悪影響を及ぼすおそれも出ています。オーストラリアでは、野生動物を守りながら観光客に楽しい旅の思い出を写真に納めてもらおうと、ある試みが始まっています。(シドニー支局記者 小宮理沙)

オーストラリアといえば、大自然にカンガルーやコアラなどがパッと思い浮かぶ、人気の観光地です。
野生動物が多く生息するスポットでは、スマートフォンやカメラを手に動物を探す人たちの姿をよくみかけます。

その1つが、タスマニア州のマリア島です。
タスマニア島の東に浮かぶ小さなこの島は、イギリスの植民地時代に流刑地として使われていた過去があり、いまでも手付かずの自然が残されています。島全体が国立公園に指定され、比較的容易に野生動物を見つけることができます。

動物との出会いを求めて、島を訪れる人は年々増加。2017年度は年間3万1000人に上り、3年前より50%近く増えました。オーストラリアのなかでも、ぐんぐん知名度をあげているスポットなんです。

■SNSの写真 動物にとっては迷惑?

この背景にあるのが、SNSの存在です。
マリア島に生息する動物との自撮りなど、観光客が撮影した写真が投稿され、人気を呼んでいるんです。

とりわけ観光客をとりこにしてきたのが、島に100頭余り生息している有袋類のウォンバットです。かわいらしい姿に加え、警戒心が低く、みずから人に近寄ってくることもあるため、ウォンバットを目当てに島へやってくる人も少なくありません。

その一方でいま、野生動物との写真撮影が新たな問題になっています。SNSに投稿するため、インパクトのある写真を狙うあまり、一部で行き過ぎが生じているんです。

動物に異常に接近したり、むやみに触ったり、自撮り棒で追いかけたり。
国立公園の担当者によりますと、なかには、成長したウォンバットに子どもを乗せて写真を撮ろうとしていた人もいたといいます。

こうして撮影された写真が投稿され、いわゆる「いいね」などを集めたり、他の人が写真を転載する「シェア」が行われたりして、「野生動物に触れてもいい」という誤った認識を広げています。

でも、行き過ぎた行為は、動物にストレスとなり、ときにはケガをさせたり、場合によっては動物の育児に悪影響を与えたりするおそれもあります。

また、おとなしくても野生動物ですから、観光客がかまれたり、ひっかかれたりすることもあるんです。

■自撮りなど自粛「マリア島宣誓」

そこで、去年12月、マリア島では、行き過ぎた撮影などから動物を守ろうという試みが始まりました。それが、観光客に野生動物を尊重してもらう「マリア島宣誓」の導入です。

「自撮り棒で追いかけたりしません」
「取り囲んだり、抱き上げたりしません」など、ウォンバットを中心に島の動物に不適切な行為をしないことが盛り込まれています。

地元の観光促進団体のウェブサイトに掲載されていて、島を訪れる観光客にインターネット上で署名してもらっています。

中国語を話す観光客が増えていることから、中国語の宣誓文も用意されていて、今後は日本語や韓国語など、ほかの言語にも訳される予定です。

■まずは「宣誓」の普及から

この宣誓、実際に行った観光客に聞いてみると、支持する声が多く聞かれました。

以下ソース先で

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190319/K10011852951_1903191439_1903191440_01_02.jpg
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190319/K10011852951_1903191355_1903191420_01_05.jpg
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190319/K10011852951_1903191355_1903191420_01_06.jpg
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190319/K10011852951_1903191356_1903191420_01_07.jpg
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190319/K10011852951_1903191356_1903191420_01_11.jpg

2019年3月19日 16時26分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190319/k10011852951000.html