合理的配慮を説明する仙台市障害者差別解消条例の事例集
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 仙台市の車いす利用者の男性が市の肺がん・結核健診を受けられなかった問題で、自力で立てない障害者が受診できない市の枠組みについて、福祉の専門家から障害者差別解消法が掲げる合理的配慮の観点から不適切との意見が出ている。

 東北福祉大の阿部一彦教授(社会福祉学)は「問題は市が本人の申し出を受け止め、個別の配慮、工夫をしたかどうか。健康に関わることなので速やかな対応が必要だ」と指摘。「本来は多様な市民が受診できるよう、あらかじめ環境を整備するべきだった」と唱える。

 「合理的配慮の観点から不十分ではないか」と言うのは宮城県身体障害者福祉協会の森正義会長。「携帯型検査機器の導入や医療機関での個別検診の活用など市の枠組みに工夫の余地はあるはず。行政は社会的障壁をなくすため、率先して取り組まなければならない」と語る。

 解消法の施行を受けて仙台市が2016年に制定した障害者差別解消条例の事例集は「必要な工夫をしないために不利益を与えることも差別に当たり、行政機関において禁止される」と明記する。

 市障害企画課の担当者は「車いす利用者のために実施している身体障害者健診が代替手段となっており、合理的配慮に欠けるとの指摘は当たらない」と釈明している。

 男性は昨年まで計4回、肺がん・結核健診を申し込んだが、胸部エックス線検査の際、一人で立てないことを理由に受診できなかった。

[合理的配慮]2016年施行の障害者差別解消法に掲げ、自治体に義務付けた。障害者から社会的障壁を取り除くように要請があった場合、自治体は負担になり過ぎない範囲で障害に合った必要な工夫を行い、対応しなければならない。仙台市は16年、同法を踏まえて条例を制定した。

3/24(日) 14:31配信
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