https://mainichi.jp/articles/20190330/k00/00m/040/281000c

外国人労働者受け入れ拡大、4月1日スタート 政府側の準備不足否めず
毎日新聞 2019年3月30日 19時28分(最終更新 3月30日 19時44分)

 外国人労働者の受け入れを拡大する新たな制度が4月1日、始まる。これまで「高度な専門人材」に限定されていた就労目的の在留資格を、事実上の単純労働者にも認めるという大きな政策転換だ。人手不足に直面する産業界からは歓迎の声が上がるが、政府側に準備不足の感は否めない。

 改正入管法で新設される在留資格は「特定技能」。(1)一定の知識・経験を要する「1号」(通算5年まで、家族帯同不可)(2)熟練した技能が必要な「2号」(在留期間更新可、配偶者と子の帯同可)の2種類。取得には14の業種・業務ごとの技能試験合格が必要で、1号は日本語試験も課す。

 技能実習修了者は無試験で1号に移行できるため、早ければ4月中旬にも資格取得者が生まれる可能性がある。4月に技能試験を行うのは新制度開始時点で実習生からの移行者がいない介護、外食、宿泊の3業種。大半の業種は「2019年度中」としており、海外で新資格取得を目指す人が日本で働けるようになるのは少し先になりそうだ。

 日本語試験は従来の「日本語能力試験」のほか、「国際交流基金日本語基礎テスト」が新設された。受け入れの中心と想定されるアジア9カ国で行う予定だが、4月にある第1回テストの実施国はフィリピンのみだ。日本政府はその9カ国との間で悪質ブローカーの排除を目的とした協力覚書の締結を進めているが、現時点での締結は4カ国だ。

 生活者としての外国人支援のため、政府は新制度開始にあわせて「一元的相談窓口」を全国約100カ所に開設する方針を示していた。法務省は、設置主体の自治体を支援しようと2月中旬以降、交付金(整備費、運営費各1000万円が上限)を公募したが、都道府県や政令市、外国人集住自治体など111自治体のうち、整備費、運営費のどちらか一つでも申請したのは68自治体。自治体側に検討する時間的余裕がなかったためとみられ、同省は4月1日から2次募集を始める。【和田武士】