中東地域を管轄しているアメリカ中央軍は、本土から派遣された爆撃機の部隊が現地の基地に到着したと明らかにしました。トランプ政権は、イランがアメリカ軍に対する攻撃の準備を進めていると主張していて、一連の動きを通じてイランへのけん制を強めています。

トランプ政権は今月5日、「イランがアメリカ軍を攻撃するための準備を進めているとの兆候が強まった」と主張し、中東地域に原子力空母「エイブラハム・リンカーン」を中心とする空母打撃群と、B52爆撃機の部隊を派遣すると発表していました。

B52の部隊は、アメリカ南部ルイジアナ州の空軍基地から派遣されましたが、中東地域を管轄するアメリカ中央軍は、現地時間の8日、部隊が現地の基地に到着したと明らかにしました。

アメリカのメディアによりますと、B52が到着したのはカタールの基地だということで、中央軍は声明でB52が持つ爆撃能力を強調したうえで、「強い軍事力を展開することでこの地域の安定を守る」としています。

さらに、アメリカ海軍は原子力空母「エイブラハム・リンカーン」がスエズ運河を通過して紅海に入ったことを明らかにしました。

空母はペルシャ湾に向かっていると伝えられており、アメリカ軍は一連の動きを通じてイランへのけん制を強めています。

また、ヨーロッパを訪れていたポンペイオ国務長官は当初の予定を切り上げて8日に帰国し、イランへのさらなる対応を協議しているものとみられます。

米大統領 イランに対話促す
アメリカのトランプ大統領は、中東地域に原子力空母「エイブラハム・リンカーン」などの派遣を決めた理由について、9日、ホワイトハウスで記者団に「脅威が迫っていた。アメリカとほかの地域のために十分に安全を確保する必要がある」と述べ、イラン側から攻撃を受ける可能性があったと主張しました。

ただ、「情報があるが、それはあなたたちが知りたくないようなものだ」と述べるにとどまり、具体的にどのような脅威があったのかについては言及しませんでした。

そして、「アメリカがイラン核合意から離脱して以降、イランの経済はめちゃくちゃになり、毎週末のように暴動が起きている」と述べました。

そのうえで、「イランがやるべきことは私に電話をかけて話し合うことで、公正な合意を結ぶことは可能だ。われわれはイランに核兵器を保有してほしくないだけだ」と述べ、イラン核合意に代わる新たな合意を結ぶためイランに対話の席につくよう促しました。

ただ、イランは、圧力を一方的に強めるトランプ政権に対して不信感を募らせていて、現時点で、対話に応じる可能性は低いとみられています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190510/k10011910661000.html
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