味の素は、これまで段階的に進めてきた労働時間の短縮をストップする。2020年度の達成を目指していた「所定労働時間7時間」の目標を取り下げた。時間内に仕事を終えることだけにとらわれる社員が出てくるなど勤務時間短縮の弊害が生じてきたためだ。現在の労働時間7時間15分を続ける。

 味の素の西井孝明社長は、10日の決算記者会見で、「時間ありきの働き方を求める段階は過ぎた。今後はどれだけクリエイティブ(創造的)な仕事に時間を割けるか、実質的なテーマにかえる」と話した。味の素は所定労働時間を、17年度に、それまでの7時間35分から20分短縮させた。勤務時間は1時間の休憩を挟み朝8時15分から午後4時30分までとなっている。

 勤務時間の短縮は、効率的に働くという社員の意識改革につながった。ただ、その一方で勤務時間を気にして、新しいアイデアが浮かびづらくなるなど負の側面も生じてきたという。本社の管理部門に比べて、営業部門は勤務時間を減らすのが難しいなど、働く部署によって差も出た。

5月10日 読売
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20190510-OYT1T50337/