https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190519-00010002-jij-m_est

■主力の対テロ戦闘部隊では初の女性

5月14日、イスラエルの占領地ゴラン高原にある軍の歩兵部隊ギバティ旅団の宿営地で、兵役で同旅団に所属する
イスラエル市民権を持つ日本人女性、清水真優軍曹(21)が時事通信の取材に応じた。本人への取材は、
軍関係者の同席の下、英語で行われた。

清水さんは父親が日本人で、母親がイスラエル人(ユダヤ人)。ユダヤ人の母親から生まれた人は、ユダヤ人とみなされる。
イスラエルの兵役は、ユダヤ人市民の義務となっており、心身に問題がある場合など一部の例外を除き、18歳になった段階で
男女とも2、3年前後にわたって軍務に服する。

日本の法律では、22歳までは日本の国籍と他国の市民権を同時に持つ二重国籍が容認されている。
一方、イスラエルでは二重国籍での兵役参加は問題とされない。このため、兵役のタイミングを踏まえれば、
イスラエル市民として兵役に就く若者が日本国籍を保持しているケースはほかにもあると考えられる。

ただ、清水さんの場合、対テロ作戦を主要任務とするギバティ旅団の戦闘部隊に加わる初の女性で、
これは日本人であろうとなかろうと異例のケース。女性は多くの場合、後方支援部門に配属される。
最近は任務に危険が伴う戦闘部隊に女性が配属されるケースがあるものの、依然極めて限定的だ。

清水さんは、負傷した兵士に緊急救命措置などを施す医療隊員。ただ、医療隊員は最前線で共に行軍するため、
数々の医療用具を携行する一方、戦闘要員と同様の装備も身に着け、通常の隊員以上の重装備となる。
訓練も、医療行為向けと戦闘行為向けの両方を行う必要があり、負担は大きい。

一方、日ごろ展開する作戦の中では、最近まで過激派組織「イスラム国」(IS)が強い勢力を誇っていたシリアとの境界地帯で
任務を行うこともあるという。清水さんは9日、軍の中でごく一部の優秀な兵士だけに与えられる大統領表彰を受けた。

■最前線で何が起きているか知りたかった

清水さんとの取材での主なやりとりは以下の通り。

―ギバティ旅団は対テロ作戦を任務としています。困難な任務を伴う部隊に、どのような気持ちで参加しているのですか。

ギバティ旅団には、(医療要員としての訓練を受けた後)2018年1月から参加しています。
兵役では、何か自分にとって素晴らしいことをしたいと思ってきました。内に秘めた何かです。
以前から、最前線に行きたいと思っていました。そこで何が起きているのか知りたかったからです。
もし交戦があるなら、参加してベストを尽くしたい、これが自分の選択肢だと認識していました。
もし私が最前線にいれば、ほかの兵士に治療を施し、共に戦う機会を得ることができる。
これは私にとって、ある意味で夢だったとも言えます。もともと自分は軍に兵役で参加しなければならないと
認識していたので、それならば、その時にはベストを尽くさなければならないと考えていました。

―入隊前、何かスポーツの経験があったり、体力に自信があったりしたのですか。

入隊する前、特にそれに備えて何か激しい運動をすることはなかったです。ダンスはたくさんやりました。
モダンダンスとか、バレエとか、いろいろ。ダンスの学校に通っていました。あと走ったり、ジムには通ったりはしていましたが、
ダンス以外で本格的にやっていたことはありません。入隊してから、いろいろなトレーニングを始めました。
自分が使ういろいろな装備品を装着し、大きなバックパックを背負って長い距離を歩いたりしました。つらかったけど、
得るものはありました。それで筋肉もついたと思います。

―訓練はどのような感じですか。

私は医療要員ですが、同時に戦闘要員でもあります。体力トレーニングは欠かせません。銃火器の使い方の取得、
戦闘訓練、ゲリラ作戦の演習などです。入隊してすぐ、射撃の指導を集中的に受けました。同僚たちと一緒に訓練することで、
次第に自信がついてきて、それで実際に作戦に赴くようになるという流れです。訓練の中には、非常に厳しい内容も含まれています。
毎日実弾や銃を使って。実際にけが人が出てしまうこともあります。足の骨を折ったり、熱中症になったり。
そんな時は、医療要員の私が実際に措置を施します。これとは別に、模擬的にけがの治療の訓練をしたりすることもあります。


イスラエル軍ギバティ旅団のカラ宿営地で取材に応じる清水軍曹=2019年5月14日、ゴラン高原
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