北海道苫小牧市の路上で22日深夜、乗客から暴行を受けたタクシー運転手がその後、死亡する痛ましい事件が起きた。亡くなった佐藤進さん(69)の妻は悲しみに打ちひしがれ、勤務先のタクシー会社の上司は、乗客からの理不尽な仕打ちに怒りをあらわにした。

 「あの人は殴られるような悪いことをしたのでしょうか」。事件から一夜明けた23日、佐藤さんの妻・美智子さん(76)はそう言い、声を震わせた。

 佐藤さんは10年ほど前に、タクシー運転手として働き始めた。「この仕事は楽しい。天職だ」。口癖のように美智子さんに話し、どんなに忙しくても嫌な顔一つせず、仕事に励んでいたという。

 美智子さんによると、佐藤さんは、事件が起きる約3時間前の22日午後8時頃、食事を取るため、自宅に戻った。「おいしいね」と美智子さんに語り、白米とみそ汁をおかわりした。9時頃に食事を終えると、「頑張るぞ。行ってきます」と言い、普段と変わらぬ様子で再び、仕事に向かった。

 苫小牧署から佐藤さんが暴行を受けたと連絡があったのは約2時間後。美智子さんは、苫小牧市内の病院に駆けつけたが、すでに意識はなかった。「起きて」「頑張れ」。何度も佐藤さんに声をかけたが、数分後に息を引き取ったという。

 年数回、夫婦で旅行するのが楽しみで、9月には休暇を取り、佐藤さんが好きだった奈良に出かける予定だった。「おすしを食べ、温泉に入ろう」と話していたという。

 「真面目で優しく、よく冗談を言って笑わせてくれた。あの人のいない人生をどうやって生きればいいのか。頭が混乱しておかしくなりそう」。突然の悲報に美智子さんは涙を流しながら語った。

 佐藤さんが勤務していた「金星室蘭ハイヤー」(室蘭市)苫小牧支店の高橋義広営業課長は、「自分の仕事には責任を持って取り組む人。同僚からも信頼されていた」と振り返り、「大切な社員を失い、残念でならない。こんなことで亡くなるなんてありえない」と憤った。

 一方、逮捕された渡辺正継容疑者(59)は、事件現場近くに住み、2012年頃から苫小牧市内の北海道新聞販売店でアルバイトとして新聞配達を行っていた。近隣住民によると、渡辺容疑者は父親と2人暮らし。近くに住む女性(78)は、「最近は見かけなかったが、こんな事件を起こすとは。残されたお父さんがかわいそう」と話した。

5/24(金) 12:06
読売新聞オンライン
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