0001ばーど ★
2019/06/04(火) 08:49:07.08ID:NLhOULs59■殺してもよい命は何一つない
元農林水産省の事務次官がひきこもり状態にあった息子の言動に危機感をもって殺害する事件が起きた。
殺害された息子はひきこもり状態であり、家庭内暴力、暴言があったことが報道されている。
さらに、親から過度な経済的支援を受けていたことも報道されている。
これを受けて、インターネット上には「社会に迷惑をかける前に殺害することは正しい」「父親はよく決断した」「あまり良いことではないが殺されても仕方がない命はある」という書き込みが相次いでいる。
■ここでも少し立ち止まって考えてほしい。
本当に、彼は殺されなければならなかった命なのだろうか。
百歩譲って、殺された理由は本当に適正だったのだろうか。
親が殺害におよぶ前にできることはなかったのだろうか。
いまの社会情勢において、このような疑問を呈することは、きれいごとだ、と非難する人々もいることだろう。
しかし、社会福祉にかかわっている立場からは、この苦悩をされた父親の気持ちを慮ることは可能だが、容認することは絶対にできない。
なぜならば、社会資源と呼べる支援は、不十分ながらも存在しているので、それによって犯行は抑えることができたのではないか、と思うからだ。
■社会とは助け合うもの
「人にここまで迷惑をかけるくらいなら殺した方がいいだろう」という背景には、支援方法や支援策が提示されないし、共有されていないことも原因だろう。
実は、ひきこもりに苦しみ、悩む人々や家族にとって相談窓口や機関は多数ある。
別にひきこもりを問題だと思っていない場合には活用しなくても構わないし、事実として、問題とは言えないひきこもり案件も多い。
ましてや、ひきこもりが犯罪予備軍、危険な状態だということも誤りなので差別や偏見は持たないでいただきたい。
家族同士での解決が難しい案件も、相談窓口や機関を利用することで解決への糸口が見いだせることがある。
例えば、僕たちは、特定非営利活動法人KHJ全国ひきこもり家族会連合会の関係者と協力しながら、ひきこもり当事者やその家族と、精神科病院への同行や転居に向けたアパート探し、世帯分離後の生活保護申請などの支援をおこなってきた。
他にも、警察や保健所などにも支援を要請し、家庭に介入することもあった。
介入してきたひきこもりの事情や家族背景は実に様々である。
本人の精神疾患が重く、親が高齢のため、本人への支援が難しい世帯には、別居や社会的なケアを導入したことがある。
他にも、家庭内暴力があったため、本人の転居を手伝い、その後に生活保護申請をおこなった。
いずれにしても、双方で話し合い、別居した後に適正な支援や医療が提供されれば、家族や本人の負担、苦しさが軽減される事例に多数であってきた。
だからこそ、殺したり、死ぬ必要性など微塵もないのである。
もちろん、すべてが円満に解決したと言えるわけではないが、「何かできることは社会にある」と知っていてほしい。
ただ、家庭内の問題を第三者機関に相談することは非常に勇気のいることである。
日本社会において、「家庭内の問題は、自分たちで解決するべきものだ」という固定観念は根強い。
そのため、今回同様に、多くの家庭では問題を抱え込み、苦しみが連鎖していくのだ。
親子の関係性が悪かったり、害悪が生じる関係性なのであれば、離別することも選択の一つなのである。
そのためには、第三者機関に介入してもらうことが非常に重要である。
たとえ家庭内の問題であっても、解決の糸口が見いだせないのであれば、前述の支援団体や公的機関に気軽に相談していただきたい。
すべての命が尊重される社会にするために。
藤田孝典
2019年06月04日 07:36
https://blogos.com/article/381691/
藤田孝典(ふじた たかのり、1982年(昭和57年)-)は、日本の社会福祉士
NPO法人ほっとプラス代表理事、反貧困ネットワーク埼玉代表、ブラック企業対策プロジェクト共同代表、聖学院大学客員准教授