森林公園にヒグマはいない―。江別市と北広島市、札幌市厚別区にまたがり、大都市近郊の天然林として親しまれてきた道立野幌森林公園の通説が揺らいだ。江別市によると、森林公園周辺でクマ出没が確認されたのは、1941年(昭和16年)以来78年ぶり。周辺の小、中学校や高校、公園利用者らに驚きと不安が広がった。

 森林公園の南側に隣接し、10日夜に周辺でクマが目撃された立命館慶祥中・高(江別市西野幌)は11日、放課後の部活動を中止。下校する生徒が多い午後4時ごろは教職員が周囲を見回った。同校は「授業で自然観察もしてきた森林公園にクマが出没するのは全く想定外。行方がはっきりしない間は警戒を続ける」。

 森林公園の東側にある江別市立野幌小(西野幌)は同日、屋外の授業を中止。バスで登下校する児童以外は保護者に送迎を頼んだ。公園の北西側にある同市立文京台小(文京台)は下校に教職員が付き添った。

 市民団体「野幌森林公園を守る会」の富川徹事務局長は「11日も国の天然記念物クマゲラの調査のため会員3人が早朝から森林公園に入っている。会員の安全確保を考えたい」。同市西野幌の昭和の森パークゴルフ場は場内アナウンスでクマ出没を知らせた。来場していた札幌市の主婦徳永加代さん(75)は「もし遭遇したら安全に逃げられるか不安」と語った。

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