金融庁のワーキンググループらしい提案であるが、報告書は、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦は、
年金だけだと毎月約5万円の赤字で、死ぬまでに1300万円〜2000万円が不足すると記されている。

このような事実は、何年も前から指摘されていたことであり、何ら目新しい発見ではない。
ところが、参議院選を前にして、野党はこれを争点化しようと目論んで、
批判の大合唱を始め、これにメディアも追随して「炎上」状態になってしまった。

■年金問題を自分の頭で考えていない

年金は老後の命綱であり、それだけに皆の関心をひき、容易に政治争点化するのである。
しかし、実は、日本人は年金問題について常日頃から自分の頭で考えることをしない。
驚くべきことだが、厚労大臣として年金記録問題に対応して、そのことを実感させられたのである。

年金記録にミスが生じたのには、記録管理システムが紙台帳から紙テープ、磁気テープ、オンライン化と
変遷してきたことなど様々な理由がある。そして、基本的には社保庁の杜撰な対応が原因であるが、
その背景には国民の無関心があった。
現役の若いサラリーマンに30年後、35年後のことを考えろと言っても無理かもしれないが、
そのような国民の姿勢が社会保険庁のいい加減な手抜き作業を許してきたのである。

しかも、日本国民は政府が無謬だと信じている。したがって、政府に任せておけば大丈夫だという
「お上(おかみ)信仰」が強すぎて、その信仰の対象である政府・官僚機構を批判しない。

私は、自民党が惨敗した12年前の参院選の後に、厚労大臣として年金記録問題の対応に当たったが、
国民一人ひとりに自分の年金をチェックする習慣をつけてもらうために、
「ねんきん定期便」を各人に誕生日に送る制度を作った。
年に一度くらいは自分の将来がかかる年金のことをチェックしてもらおうという試みであった。
しかし、そこまでしても届いた定期便を開封もしない人もいて呆れたものである。

金融審議会の報告書も、「人生100年時代」に備えて、ライフステージに応じて自分の資産を形成し、
管理する必要性について述べたものである。年金制度が不十分なものであることを説くのが目的ではないのである。

「年金100年安心」は嘘だと野党は訴えるが、この言葉は、所得代替率が50%以上、
つまり、現役時代の少なくとも半分は受給できる今の年金を今後も続けていくという意味であり、
それもかねてから説明してきている。
「老後は年金だけでは足りない」というのは、総務省の家計調査で公表しており、
厚労省もいつも使っている資料である。

今回の金融審議会の報告書が野党やマスコミの餌食になったのは、

毎月5万円の「赤字」という言葉を使ったことと、95歳まで長生きすることを強調して、
「赤字」を30年間続ければ約2000万円になるという掛け算の結果を出したことが理由である。
「赤字」という言葉も、「2000万円」という数字も、世間の注目を引く。
それを「政治音痴」だと批判されても、大学教授などのワーキンググループのメンバーも困ってしまうであろう。

■天からカネが降ってくる、のが社会保障ではない

2017年の日本人の平均寿命は、男性が81.09歳、女性が87.26歳である。
第二次大戦直後は、「人生50年時代」であり、実際に1947年の平均寿命を見ると、
男性50.06歳、女性53.96歳である。過去70年間に男性が31.03歳、女性が33.30歳も平均寿命が伸びている。

社会保障制度というのは、カネが天から降ってくるわけではないので、保険料などの負担を増やすか、
医療費や年金などの給付を減らすしかない。70歳まで働き、70歳からの年金支給にすれば、
保険料は増収し、年金支給は減る。また、パート労働者も公的年金の対象にすれば、支える側の裾野が広がる。

全文はこちらで
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190615-00056715-jbpressz-bus_all
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190615-00056715-jbpressz-bus_all&;p=2

無謬(むびょう)とは?
理論や判断にまちがいがないこと。
https://kotobank.jp/word/%E7%84%A1%E8%AC%AC-642240

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