希少種ミナミイワトビペンギンにヒナ6羽誕生 海遊館
産經新聞 2019.6.20 07:30
https://www.sankei.com/west/news/190620/wst1906200012-n1.html

 絶滅の恐れがあるミナミイワトビペンギンの人工繁殖に取り組む大阪市港区の水族館「海遊館」で、今年もヒナ6羽が誕生した。
凍結保存した精子による人工授精を4月に行っており、父親が凍結保存した精子の個体と確認できれば、世界初の成功となる。

 同館は平成28年6月、液状保存の精子を用いたミナミイワトビペンギンの人工授精に世界で初めて成功。
今回のヒナの父親を判別するDNA鑑定の結果は、7月中旬にも判明する。

 ミナミイワトビペンギンは現在、26羽(雄12羽、雌8羽、不明6羽)が同館で飼育されているが、国内の飼育数は減少傾向にある。
長期的に個体数を維持するには人工繁殖が必要として同館は23年から、神戸大と連携して研究をスタート。
29年には同種で有数の繁殖実績をもつ葛西臨海水族園(東京)と共同研究契約を結び、
葛西臨海水族園で採取した精子を凍結保存して海遊館の個体に人工授精する取り組みを進めている。

 今回のヒナは6日から8日にかけて孵化。
すくすく成長する姿が「フォークランド(マルビナス)諸島」水槽で公開されている。
親鳥にぴったりと体をくっつけたり、「ピィ、ピィ」と鳴いて甘えたりする様子が来場者の視線を集めているという。

 広報の林成幸さん(34)は
「成功すれば、半永久的に精子(遺伝子)を保存できる技術なので、絶滅の危機にひんした生き物のためにもぜひ確立させたい」と話している。

◇ 親鳥に甘えるミナミイワトビペンギンのヒナ=大阪市港区の海遊館
https://www.sankei.com/images/news/190620/wst1906200012-p1.jpg