2019/07/06 5:10
フッ化ポリイミドは、スマホなどに使われる液晶や有機ELパネルに使われる。フッ化ポリイミドの材料となる物質を作っている有力な日本企業はあるものの、フッ化ポリイミドそのものではないために規制対象ではないという。

さらに、日本から韓国への直接輸出が規制されても、第三国経由で入手することは難しくないと指摘する経産省関係者もいる。この場合、余分なコストがかかるため、韓国企業には痛手となるが、「経営が傾くほどにはならないだろう」(関係者)という。逆に懸念されるのが、規制をかけて取引が停滞する間に韓国内でフッ化水素などの生産体制が整備されることだ。その場合は韓国内だけでなく世界中で日本企業と競合関係になることが予想され、長期的には日本の半導体材料メーカーにとって脅威になりうる。

「包括許可が個別許可になったからといって、輸出を制限するわけではない」というのが経産省の言い分だ。今回輸出規制の対象になった品目は、過去に問題になる事案があり、その調査に韓国政府から十分な協力が得られなかったものだ。経産省の担当者は「(個別許可の)審査に最大で90日かかるということは公表しているが、いたずらに長くすることはない」と話す。

輸出規制はWTO(世界貿易機関)協定違反だとの指摘についても、「安全保障に関わる管理であり、その枠内でやっている」と経産省は主張する。韓国の半導体産業に致命的な打撃を与えようとすれば、同じ材料でもシリコンウエハの輸出を規制すべきだとの声もあるが、「産業保護のために、理由なく貿易を止めるわけにはいかない」とする。

要するに、今回の輸出規制は「建前上は対韓制裁を目的としたものではなく、韓国経済に打撃を与える意図も実質的な効果もない」ということのようだ。

参院選を前に対韓強硬策という「ポーズ」を打ち出した安倍政権。現時点で大きな影響がないにしても、対象品目を拡大したり、審査が長期化したりすれば日本企業にとっても悪影響が出る恐れがある。ある業界関係者は、「半導体業界には強い政治力がない。だから、こういったときに利用されてしまう」とぼやいている。

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https://toyokeizai.net/articles/-/290833?page=2
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