2019年7月12日 16時45分
時事通信社

 インターネットオークションで出品が相次いだ「壬申(じんしん)戸籍」とみられる文書。

 身分などが書かれた同戸籍は、就職や結婚の際に悪用されたと言われる。旧家に眠っていた文書が出回り、出品者も同戸籍の疑いがあるとは知らずに出した可能性があることが、取材で明らかになった。

 5月上旬、埼玉県北部に住む70代男性宅に古物商が訪れた。「古い冊子などを売ってほしい」。古物商は男性宅の蔵に保管されていた書籍や冊子など段ボール数箱分を買い取り、立ち去った。

 男性の先祖は明治時代、この地域で壬申戸籍の編製を担ったとされる「戸長(こちょう)」だった。法務省などによると、同戸籍を代々保有し続けている戸長の家もあるという。

 約1週間後、関東地方に住む人物が古物商から数百点を購入。その中から5月23日、埼玉県北部の壬申戸籍とみられる文書をネットに出品した。文書には最初に売った男性の名字と近所にある神社の名前などが書かれており、男性宅に保管されていた可能性があるという。出品者は取材に「(同戸籍とは)知らなかった」と証言した。

 5月5日に出品された奈良県中西部の戸籍をまとめたとみられる文書は、出品ページに「江戸期から続く庄屋宅に保管されていた古文書」と説明があった。庄屋は江戸時代の村の長で、明治時代に戸長となる例も多かったという。 
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