【モスクワ=小川知世】ロシア極東サハリン州のメディア「サハリン・インフォ」は24日、メドベージェフ首相が8月に北方領土の択捉島への訪問を計画していると報じた。訪問すれば4年ぶりで、温泉や水産加工場を視察する。日ロ平和条約交渉は領土の主権の帰属をめぐって両国の溝が埋まらず停滞している。ロシアは独自に開発を進める姿勢を国内にアピールする狙いとみられる。

メドベージェフ首相の北方領土への訪問は2015年8月以来で計4回目となる。学校や住宅の建設現場の視察や魚釣りも予定する。地元の自治体は温泉施設までの道路の整備の支援をメドベージェフ氏に要請する方針という。ロシアは5月に北方領土で行う経済特区の事業の拡大を決め、観光などで独自開発を加速する構えを示していた。

ロシアは日本との平和条約交渉で、北方領土の主権がロシアにあると日本が認めるのが前提だと主張している。6月に大阪で開かれた日ロ首脳会談でも主張は平行線をたどった。北方領土を事実上管轄するサハリン州で9月に控える州知事選挙もにらみ、領土問題で日本に譲歩しない姿勢を強調するとみられる。

2019/7/24 19:30 共同通信
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47732500U9A720C1PP8000/