中国人民解放軍の香港駐留部隊が6月下旬、陸海空合同の大規模な軍事演習を行っていたことが明らかになった。香港では6月初旬からこれまで、1989年6月の天安門事件30周年の追悼集会や逃亡犯引き渡し条例の改正案反対デモなどで数万人から200万人の市民が参加。これらの動きは香港への圧力を強める中国政府に抗議するためのもので、警官隊との激しい衝突も起きているなかでの軍事演習だけに、香港の民主派勢力を牽制する狙いがあるのは明らかだ。

 軍機関紙「解放軍報」は7月2日付の短文投稿SNS「微博(ウェイボ)」の公式アカウントで、6月下旬に香港で行った香港駐留の陸海空軍の合同演習の写真12枚を掲載した。

 この軍事演習の目的について、投稿では「緊急出動した際の部隊の戦闘能力の確認と強化が目的」と指摘している。解放軍報が写真を12枚も使い、香港駐留軍の演習を紹介するのは極めて異例。

 中国国営新華社電は昨年8月、「香港駐留部隊が艦艇5隻、各型のヘリコプター4機、陸軍特戦隊員数十人を動員し、香港周辺海域で陸海空3軍合同の反テロ演習を行った」との短信を報じたことはあるが、写真は1枚も配信していない。

 同紙は今回の演習について、上海国防戦略研究所の研究員のコメントとして「この演習の意図は明確で、香港の独立分子に警告することと、香港問題に対する外国からの干渉を阻止することにある」「事態がより過激なレベルに発展し、香港行政府がそれに対応できなくなった場合には、中央政府が軍を出動させるだろう」と報じている。

 一方、香港メディアによると、香港で反政府デモや抗議行動がますます激しくなっていることから、香港政府が中国政府の指示を受けたとも報じた。香港政府が中国公安省の捜査員らを受け入れ、民主化指導者や反中国活動家らの張り込みや尾行、電話の盗聴など24時間の行動監視態勢を敷いているという。

 行動監視を受けているのは7月1日の立法会占拠の指揮をとった民主化団体「香港衆志」事務局長の黄之鋒氏(22)や、「民主党」の創設者で、「香港の民主主義の父」と呼ばれる弁護士の李柱銘氏(81)らで、このほかにも、中国からの独立を叫ぶ「香港独立党」や「香港民族党」の幹部も監視対象だ。

 中国共産党傘下の国際問題専門紙「環球時報」は「香港の独立運動や民族主義の爆発は許さない。断固とした処置をとる」との社説を掲げており、香港の混乱状態を終息させるために、中国の習近平指導部の意向を代弁しているのは明らかだ。6月下旬の香港駐留人民解放軍の大規模軍事演習も、鎮圧のために軍を出動させるとの習近平指導部の意思表示とみてもよさそうだ。

2019.07.24 07:00  NEWSポストセブン
https://www.news-postseven.com/archives/20190724_1415733.html

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