竹島はスクランブル対象外=防空識別圏、設定されず−ニュースQ&A
時事 2019年08月11日14時39分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019081100232&;g=pol

 ロシア軍機が7月23日、島根県・竹島の領空を初めて侵犯した。竹島は日本固有の領土だが、韓国の実効支配が続いており、防衛省は航空自衛隊機による緊急発進(スクランブル)の対象になっていないと説明している。今回の侵犯は日韓両国の対立の隙を突いたとの見方が強く、同様の事態は今後も起きる可能性がある。
 −スクランブルって何?
 国籍不明機が日本の領空に侵入しようとしたときに、空自が戦闘機を緊急発進させて対応することだ。
 −具体的には。
 まずは相手を確認するため、パイロットが目で見える距離まで接近。そして、日本の領空に入らないよう無線などで警告する。パイロットに余裕があれば、相手飛行機の情報を収集するためデジタルカメラで撮影する。
 −7月23日の対応は。
 空自は東シナ海から侵入した中国軍機に対応するためスクランブルを実施。その後、中国機は日本海上空でロシア機と合流したため、中ロ両国機への継続的なスクランブル対応になった。
 ただ、防衛省は一連の中ロ両国機の飛行に対応しただけで、竹島の領空侵犯に対するスクランブルではないと説明している。
 −何で?
 飛行機は極めて高速なため、領空に入ってからでは対処が間に合わない。だから、各国はスクランブル対応を早めるため、独自に領空の外に「防空識別圏」という空域を設定。これに入れば領空侵犯の意図があると判断して対処する。
 しかし、日本は竹島や北方領土を「固有の領土」とする一方、防空識別圏には含めていない。現在の日本の防空識別圏は米国が占領下に用いていたものをほぼ踏襲したためだ。
 −日本の領土なのに変だ。
 政府は、韓国が実効支配している竹島には日本の施政権が及んでいないことを理由に挙げている。また、外交交渉で解決を図る方針のため、防空識別圏内に竹島を含めないことで、日韓の戦闘機同士の不測の事態を避ける意向もある。
 ただ、徴用工問題などに加え、韓国軍が今月中にも竹島で訓練するとの報道があり、日韓対立が続くのは必至。中ロ両国が揺さぶりをかける恐れは否定できない。