放送法が,被告につき,営利を目的として業務を行うこと及び他人の営業
に関する広告の放送をすることを禁止し(20条4項,83条1項),事業
運営の財源を受信設備設置者から支払われる受信料によって賄うこととして
いるのは,被告が公共的性格を有することをその財源の面から特徴付けるも
のである。すなわち,上記の財源についての仕組みは,特定の個人,団体又
は国家機関等から財政面での支配や影響が被告に及ぶことのないようにし,
現実に被告の放送を受信するか否かを問わず,受信設備を設置することによ
り被告の放送を受信することのできる環境にある者に広く 公 平 に 負 担 を求め
ることによって,被告が上記の者ら全体により支えられる事業体であるべき
ことを示すものにほかならない

以上のような 公 平 な 費 用 負 担 を求める受信料制度の趣旨に鑑みると,被告
の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は,実際に放送を受信
しているか否かにかかわらず,被告との間で放送受信契約を締結して受信料
5 を支払わなければならないものというべきである。したがって,放送法64
条1項にいう「設置」とは,広く,被告の放送を受信することのできる受信
設備を使用できる状態に置くことをいうと解するのが相当である。受信規約
1条2項が「設置」について「使用できる状態におくことをいう。」と規定
しているのも,このような解釈を前提にしたものであるといえる。