https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190817-00000043-asahi-soci

京都市伏見区の京都アニメーション第1スタジオが放火され、35人が亡くなった事件は、18日で発生から1カ月になる。
現場近くに設けられた献花台には、今も世界中からファンが訪れ、祈りが絶えることがない。犠牲者の友人たちも、
それぞれの思いを胸に足を運んでいる。

「とにかく手をあわせたくて。友だちでいてくれてありがとうって、お礼を伝えたくて」。
兵庫県に住む男性(47)はこれまでに2度、献花台を訪れた。

人気テレビアニメ「らき☆すた」の監督だった武本康弘さん(47)は高校時代の同級生。
事件後、連絡がつかず、最初に訪れたのが発生3日後の7月21日。2度目は8月4日。
公表された犠牲者の中に武本さんの名前を見つけた後だ。

事件から1カ月。「まだ気持ちの整理がつかない」と声を震わせる。

■「たけちん」の絵、いまも大切に

兵庫県立赤穂高校(赤穂市)の文芸部で出会った。15人ほどの部員はみな漫画好き。
イラストを描いたり、好きなイラストレーターの話で盛り上がったり。武本さんの愛称は「たけちん」。
いつもニコニコ笑っていた。3年生では部長を務め、当時から絵の才能は飛び抜けていた。

卒業後も付き合いが続いた。年に数回、正月やお盆に仲間で集まり、たわいのない会話を楽しんだ。

武本さんが京都アニメーションで働き始めたころ、仲間の家で遅くまでゲームをし、雑魚寝した。
ふと目を覚ますと、武本さんが鉛筆を握り、ゲームの女性キャラクターを描いていた。
迷いのない美しい線。「たけちんは天才。本人は落書き、練習や、と笑ってたけど」。男性はその絵を今も大切に持っている。


武本康弘さんが鉛筆で描き上げたゲームの女性キャラクター
https://lpt.c.yimg.jp/amd/20190817-00000043-asahi-000-view.jpg