多くの動物種では、オスがメスに求愛のアピールを行います。メスは、その求愛アピールを気に入ればオスを配偶者として受け入れますが、気に入らなければオスを受け入れません。今回、東京大学大学院農学生命科学研究科の大久保範聡准教授、理化学研究所脳神経科学研究センターの梶山(平木)十和子研究員らの研究グループは、京都大学、基礎生物学研究所と共同で、オスの求愛アピールに応じてメスがオスを受け入れるプロセスが、ニューロペプチドB(NPB)という脳内ホルモンによって制御されていることをメダカで見出しました。

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多くの動物種では、オスがメスに求愛のアピールを行います。メスは、その求愛アピールを気に入ればオスを配偶者として受け入れますが、気に入らなければオスを受け入れません。



オスの求愛アピールには、装飾や色彩のディスプレイ、歌、ダンスなど、動物種によるバリエーションがみられます。その一方、儀式化された一連の行動でオス側からアプローチをかけることや、配偶者を受け入れるかどうかを決めるのはメス側であることは、多くの動物種に共通にみられる現象です。脊椎動物では、こうした一連の生殖行動は、精巣や卵巣から放出される性ホルモン(注1)によって制御されていることが知られています。精巣や卵巣から放出された性ホルモンが脳に作用し、脳内で何らかの因子がはたらいた結果、雌雄それぞれの生殖行動が引き起こされると考えられます。しかし、性ホルモンの作用を受けて脳内でどのような因子がはたらくのか、特に、オスの求愛アピールに応じてメスがオスを受け入れたり拒んだりするために、脳内でどのような因子がはたらいているのかについては、あまり分かっていませんでした。

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研究グループはさらに、メスでも薬剤投与や卵巣除去によって体内の女性ホルモン量を減少させると、生殖行動中枢でのNPBが合成されなくなること、逆に、オスであっても、女性ホルモンを投与するとNPBが合成され始めることを見出しました

全文
https://research-er.jp/articles/view/81573
https://research-er.jp/img/article/20190819/20190819110253.jpeg
発表者
>梶山(平木)十和子(研究当時:東京大学大学院農学生命科学研究科 水圏生物科学専攻 博士課程/現:理化学研究所 脳神経科学研究センター 研究員)
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