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 京アニ放火事件直後から、多くの中国人が「京アニの力になりたい」と語ってきた。しかし過去、中国人とのビジネスで苦い思いをしたり、爆買い観光客の行儀の悪さを目の当たりにした日本人たちからは「京アニを利用して金もうけをたくらんでいるのか」との声も上がる。中国でコンテンツビジネスを手がけてきた立場から言わせていただくと、非常に残念な考え方である。(アジアピクチャーズエンタテインメント社長 寺田 元)

● 放火事件当日から殺到した 「京アニを助けたい」という声

 京アニ放火事件が起きた7月18日、私のところに中国人から多くの連絡がきた。例をいくつか挙げよう。

 中国の某大手映画会社――「京アニの力になりたい」
 中国の某大手配給会社――「何かできることはないか」
 中国の制作会社――「なるべく高い金額でコンテンツを買い、寄付をしたい」

 日本の皆さんは、すぐには理解できないかもしれない。「京アニの事件を利用して金もうけをたくらんでいるに違いない」と思うかもしれない。しかし私は、「そうではない」と断言したい。

 中国でのコンテンツビジネスを手がけている私からすれば、彼らは正しいと思うことをしようとしているだけだ。では、なぜ京アニを助けることが、彼らにとって正しいことなのか。

 実は今の中国の大人たちは皆、子ども時代に日本のアニメを見て育ったのだ。当時は残念ながら海賊版だったが。しかしそのことが余計に、日本のアニメへの強い憧れとなった。それが今の中国のアニメ業界の土台となっている。日本のアニメには高い尊敬の念を持っているのだ。

 これは今年、中国でリバイバル上映されたアニメ映画「千と千尋の神隠し」が興収約77億円を超えていることからも明らかだ。名前は出せないが、ほかにも日本の過去の有名アニメを中国で上映したいというオファーが、私のもとにたくさんきている。

 中国人の日本のアニメへの憧れをあらわす例をもう1つ挙げると、中国企業による日本アニメスタジオの買収だ。大手ではなく小さな制作会社だが、少しずつ買収されている。買収という言葉のイメージがあまりよくないかもしれないが、要はそれだけ好きだということだ。

 そんな憧れの日本アニメの制作スタジオが不幸な事故に巻き込まれたのだから、中国人としては何かできることをしたいという思いが自然と湧いてくるのだ。

● 中国人は信用ならないという イメージは嘘である

 日本人が中国人に持つのは、爆買いの行列のイメージや、順番待ちを守らないイメージだろう。しかし真実は、少し違うのだ。この際に私が知っている中国人の本当の姿をここに伝えたいと思う。

 今の中国経済の中枢をつくっている人たちは、当然ながら爆買いをする旅行者ではない。北京、上海、深センなどで企業に属するビジネスマンたちである。しかし、あまり日本のメディアに出てくることはない。だから日本人は、その本当の姿を知らないだろう。

 私たちがビジネスで中国へ行くと、みなとても礼儀正しい。部屋に入れば私たちが座るまで誰も座らないし、部屋の扉を出るときも必ず先に通される。エレベーターでも必ず先に通される。次のアポイント先へ移動しようとすると、わざわざマイカーで送ってくれたりもする。また、特に私が困ったときなどは本当に一生懸命助けてくれる。

 例えば昔、不運なトラブルが起きて、契約書上、我が社が費用負担をしなければいけないときがあった。私の会社は当時、まだ今よりも小さく資金力がそれほどなかったので、かなり焦った。しかしそのとき、先方の中国人は「どんなときもある、辛いときはお互いが助け合わないといけない。だから今回のお金はいらない」と言ってくれた。

 中国人とビジネスをしていると、このような例はたくさん体験する。彼らのこうした側面に数多く触れた私にとっては、これこそが中国人の本当の姿である。だから今回、京アニを支援したいという声がたくさん寄せられても、なんの違和感もない。しかし、残念なことに彼らのこうした姿は、なかなか日本のマスメディアでは報じられない。

 日本のマスメディアは中国恐怖症なのだ。確かに昔、中国とビジネスをしようとして散々だまされた日本企業は存在する。そのイメージがまだ根強く残っているのではないだろうか。(続きはソース)

8/29(木) 6:01配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190829-00213170-diamond-soci