色が、私たちの気分に大きな影響を与えることは周知の事実だ。
例えば、赤色は食欲を刺激する効果があるため飲食店に使用されたり、青色は生産性が上がるためオフィスなどに使用される。

では、ピンク色はどうだろう?この色は心理的に人に安らぎや幸福をもたらす色とされている。
専門家によると、ピンク色が受刑者たちの攻撃を抑制する効果があるとして、スイスやドイツ、アメリカなど複数の国の刑務所内の独房の壁などがピンク色に塗られているという。
だが、受刑者らには不評のようだ。

受刑者たちの攻撃性を抑制するために、刑務所内でピンク色を使用するという考えを最初に示したのは、1979年にシアトルの海軍矯正施設で実験を行ったアレキサンダー・シャウス博士だった。
色と生理的・心理的反応について研究していたシャウス博士は、海軍矯正施設で男性被験者に、明るいピンク色のポスターを両腕いっぱいに伸ばして抱えて眺めてもらうという実験の1つを行った。

すると、青色のポスターを持たせた時とは違い、被験者の筋肉弛緩が見られた。
また、同施設の独房を明るいピンク色で塗装したところ、囚人たちの攻撃性が減少した。
シャウス博士からその報告を聞いた海軍将校ジーン・ベーカーとロン・ミラーは、囚人の行動に劇的な変化をもたらしたそのピンク色を、「ベーカーミラーピンク」と呼ぶようになった。

以降1980年代を通して、複数の刑務所でもベーカーミラーピンクは適用されるようになった。
しかし、更なるシャウス博士の実験では、より明るいピンク色は気持ちを落ち着かせる効果を持たないことも判明した。

ベーカーミラーピンクの効果については、その後も実験が行われたが、やや明るめのピンク色だったため、2011年にスイスの心理学者ダニエラ・スペース博士が少し淡いピンク色を使って実験を行ったところ、より大きな効果があることがわかった。
これが「クールダウンピンク」と呼ばれる色である。

2013年には、スイスの30ほどの刑務所内独房にこのクールダウンピンクを適用。壁一面に穏やかな淡いピンク色が塗られた。
刑務所内スタッフは、ピンクの独房内の受刑者らは、通常の独房の受刑者と比べて4年以上にわたり攻撃性が著しく少ないと報告している。

「通常、受刑者をピンクの独房に2時間入れると、怒りのレベルはわずか15分で減少する」と、クールダウンピンクの効果にかなりの自信を持っているスペース博士は、人間の怒りや攻撃的な感情を抑制する作用を持つピンク色をもっと利用すべきだとして刑務所以外にも空港の警備エリアや学校、精神病院などでの適用も提案した。

またアイオワ州にあるキニックスタジアムでは、アメフトチームのコーチが、相手チームのロッカールームをピンク色に塗装。
これは、敵チームが少しでも試合に消極的に挑むことを狙ってのアイデアだそうだ。

専門家や刑務所スタッフらの間では、クールダウンピンク効果が絶大と誇示されているが、受刑者らの間では不満の声があがっている。
スイスのある刑務所で服役していたという元受刑者は、「小さな少女の寝室のような部屋に入れられたことは屈辱的だった」と語った。

また他の受刑者らも、「女性的でか弱いイメージがあるピンクの独房に入れられることは、ステレオタイプ的で差別的だ」と不満を訴えている。
現在も、スイスの一部の刑務所ではクールダウンピンクが使用されているが、その鎮静効果については、様々な物議を醸しているとのことだ。

▼動画
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★1が立った日時:2019/09/04(水) 14:18:44.15
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