オフィスの服装、カジュアルにしたら「社内明るく、疲れも減った」


 兵庫県内の企業で、オフィスでの服装を自由化する動きが広がっている。リラックスした雰囲気で社員間のコミュニケーションを促すほか、早帰りしやすいムードを演出して残業削減につなげる企業もある。ファッションやITの業界では以前から私服を認めるが、お堅いイメージのある製造業でも広がりつつある。(大島光貴、横田良平、中務庸子)

 川崎重工業は4月から、神戸・東京本社に勤務する約千人を対象に服装を自由化した。部署ごとにドレスコードを決め、内勤の総務や経理ではTシャツやスニーカー、ジーンズも可。終業後の運動に備えて、勤務中からパーカーなどを着る社員もいるという。

 各自の働き方やアフターファイブに合わせた服装選びを可能にして、執務の効率化と心身の健康増進を図る。今後は、ビジネスカジュアル着を扱う近隣店の割引販売あっせんや、社内でも展示即売会を開いて、業務スタイルに合った服装選びを支援するという。

 住友ゴム工業は7月から神戸・東京本社などで、社員の自由な服装を認める。「ノー残業デー」の毎週水曜と毎月最終金曜に実施。柔軟な発想が生まれやすい職場づくりを進め、社員間の意思疎通を促すとともに、カジュアルな服装で早帰りの意識付けを図る。

 約2100人が対象。シャツは襟付きに限り、Tシャツは不可だが、ジーパンやスニーカーはOKだ。社内のイントラで服装の基準を写真入りで紹介し、役員も社内報で奨励したところ、当初3割ほどだった実践者が7、8割に向上した部署もある。男性社員は「社内が明るくなり、会議も自由に発言しやすい雰囲気になった」と語る。9月末までの試行だが、効果を検証して継続するかを決める。

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 ファッション産業やIT企業では、古くからスーツ以外の服装が認められてきた。

 スポーツ用品大手のアシックス(神戸市中央区)は1984年に「カジュアルデー」を導入。特定の日に自社製品のPR目的で始めたが、その後、カジュアル化を恒常的に行い、約20年前からは金曜に限ってジーンズも認めている。同社は「服装に縛りがないので柔軟な発想が生まれる」と効果を挙げる。システム開発の神戸デジタル・ラボ(同)は、内勤のエンジニアが増える中でTシャツやジーンズなどが広まった。外勤社員も取引先にクールビズなどが浸透する中でカジュアル化が進んだという。

 工具インターネット通販最大手のMonotaRO(モノタロウ、尼崎市)は2000年の設立当初から服装を自由化している。ユニホームのある物流センターを除き、アルバイト、派遣社員を含めた約500人が対象。来客がある場合は、男性には襟付きを、女性には露出度の低い服装を求めている。

 暑さ対策を重視して取り組むのは、産業用ベルト大手のバンドー化学(神戸市中央区)。2017年から5〜10月にポロシャツやスニーカーの着用を認める。事務職約130人が対象。近年の猛暑で内勤でも暑さを感じることから、「服装の自由度を高める方が快適で効率的に働ける」として本格導入を決めた。社員からは「涼しくてリラックスでき、疲れ具合も少なくなった」と好評だ。


ポロシャツなどカジュアルな服装で働く従業員が目立つバンドー化学の本社=神戸市中央区港島南町4(同社提供)
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2019.09.07 ひょうご経済プラス