昨年5月に急死し、欧州の伝説の放蕩(ほうとう)児になぞらえて「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の酒類販売会社元社長、
野崎幸助さん=当時(77)=が、全財産を市に寄付するとした遺言書が見つかり、市が13日、受け取る方針を明らかにした。

遺産総額は13億円で、寄付額はその一部となる。
今後、野崎さんの遺族と遺産の分割協議をへて、市が受け取れる具体額が決まる。

野崎さんは昨年5月24日夜、自宅2階の寝室のソファで意識を失っているのを家族が見つけ、死亡が確認された。
行政解剖で、血液や胃、肝臓などから覚醒剤成分を検出。死因は急性覚醒剤中毒と判明している。

市は昨年8月、和歌山家庭裁判所田辺支部を通じて遺言書の存在を確認。
9月に裁判所が有効と認め、市は遺産を受け取れる立場と確定した。
裁判所から相続財産管理人として選任された弁護士の調査を終え、今年7月に遺産の全容が判明した。

市によると、遺言書の日付は平成25年2月8日。市が把握している遺産は、預貯金や有価証券、野崎さんが営んでいた貸金業の債権などから負債を差し引いた総額約13億2千万円。
他に市内の野崎さんの自宅や土地、乗用車や絵画などの不動産や動産もあるという。

市は今後、遺産から負債を差し引いた余剰分を受け取る申し立てを裁判所にする方針。
債務弁済などで相続財産が確定した後、野崎さんの遺族と遺産を分け合う分割協議に入り、具体的な寄付額が決まる予定。

真砂充敏市長は「市政への影響も含め熟慮を重ねた結果、遺言者の意志を尊重することが市民全体の利益につながると考え、受遺の方針を固めた」とコメントを発表した。
市は、寄付の使い道は未定としている。

https://www.sankei.com/west/news/190913/wst1909130024-n1.html