所沢という地名に「埼玉」を強く意識させるのは、1980年代前半の“ダサいタマ”ブームのときに語られた、埼玉の代表的地名だったからだろう。
今年公開され大ヒットした映画『翔んで埼玉』の原作マンガが発表されたのも、1982〜1983年のこと。
埼玉県民の身分を隠しているという主人公の出身地は所沢という設定だった。

このほか、プロ野球パ・リーグの球団として西鉄ライオンズ以来の歴史がある球団が西武ライオンズとなり、初めてのシーズンを迎えたのが1979年だ。

本拠地を所沢の西武ライオンズ球場に置いたことで、1980年代に所沢という地名は全国に押し出された。

■所沢の位置関係

所沢駅は、池袋を起点駅とする西武池袋線と、西武新宿を起点駅とする西武新宿線が交差する西武鉄道の大ターミナル駅である。
埼玉県所沢市は、埼玉県入間市や東京都東村山市などと接し、西武池袋線では秋津駅(東京都東村山市)と、西武新宿線では東村山駅の隣駅に位置している。

最近、東村山出身の志村けんが、子どもの頃、東村山の自宅から10分くらい歩いた所沢市との境まで行き、「東京、所沢、東京、所沢」と言いながら県境を行ったり来たりする遊びをしていたと語っているのをテレビ番組で見て、所沢と東京都の位置関係を改めて認識したものだ。

東京都心から所沢駅にアクセスするには、西武池袋線では池袋駅から急行で約23分、西武新宿線の高田馬場駅からは約35分。その所沢駅西口に降り立ってみると、駅前に西武所沢S.C.、駅に隣り合ったところには西友。そして東口には駅と一体化した西武グループの駅ビルグランエミオ、西武鉄道の本社がある。ここ所沢駅は、西武の企業城下町ということなのだ。

 しかし、その西武鉄道は、西武百貨店、西友ストアなどの西武グループの流通部門とタッグを組んでいた時期もあったが、
堤清二・義明兄弟の決裂とともに、西武鉄道とセゾングループも決裂。
その後にセゾングループも解体し、現在は西武百貨店はセブン&アイ・ホールディングスの傘下になり、西友はアメリカのウォルマートに買収された。

また、西武新宿線の新所沢駅付近には新所沢パルコもあるが、パルコも、かつてはセゾングループで現在は J.フロント リテイリング傘下となっている。

所沢の地では、鉄道、西武所沢S.C.、西友、パルコというかつての西武グループ関連企業が、いまだ勢ぞろいしながら、現在はそれぞれが別経営というある種の“ねじれ現象”に至っている。
しかし、それら企業が所沢発展の歴史を支えてきたのは間違いないだろう。


9/13(金) 5:40配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190913-00301336-toyo-bus_all