0001Toy Soldiers ★
2019/09/24(火) 11:49:36.60ID:paZkPO6D9【お知らせ】本日開催された「あいちトリエンナーレのあり方検証委員会」第2回会議の議論を受け、メディア各社に出したコメントです。
https://twitter.com/tsuda/status/1173957566365388800?s=03
画像
https://i.imgur.com/ig9mvrO.jpg
まずは、今回の事態に対して専門的立場から多面的に検証いただいたこと感謝します。
トリエンナーレの別件の仕事があったため詳細をおいかけられてはいませんが、今日の検証委員会では、主に４つの観点の報告が行われたようです。
①展示内容の妥当性
②キュレーションの問題
③ガバナンスの問題
④中止による中長期的な社会的影響
要約すると、今回の企画は、展示内容については妥当であった（①）が、キュレーションに問題があり（②）、作品の意図が十分に伝わらず抗議が殺到する結果を招いた。
②の不備は企画実現を目指すためガバナンスがおろそかになった結果である（③）が、このまま中止で終わった場合、海外アーティストの日本ボイコットや国際芸術文化状況からの孤立、美術館の国際的信頼低下を招く（④）ため、今後も検証とガバナンスのあり方の議論が必要というものであったと考えます。
芸術監督の立場からその検証について補足します。②を招いたのは、そもそも予算が限られていた企画であるからこそ、既にフォーマットとして完成しており、作家とのコミュニケーションコストも節約できる不自由展実行委に「完成したパッケージの企画」としてお願いした側面が大きいです。
事前告知については、本来は6月29日(土)に記者発表を予定し、会場まで押さえていました。しかし、警備のミーティングの過程で警察や弁護士などの専門家が会場を訪れる「リアルの抗議者」を最重要の存在として想定し、彼らに十分な準備期間を与えないため、直前に告知した方がいいという意見を不自由展実行委同意の下、受け入れました。
警察は警備を直接担当する部署であり、彼らとの緊密なコミュニケーションが警備するにあたり不可欠であると思ったことが理由です。
また「表現の自由展・その後」以外にも、作家が政治的メッセージ性の強い作品や予算をオーバーする作品を実現したいと主張した例はいくつもあります。
そうした時に、ほとんどの場合担当キュレーターはアーティスト側に与しました。その際、予算が足りない部分は民間の協賛先を僕が直接当たりました。
参加作家が「折れない」場合、どのように落とし所を見つけるかという観点では、今回のトリエンナーレではほぼ全ての例で参加作家の意思を尊重してきました。そうした例もきちんと検証されてしかるべきだと思います。
上山副座長からは「キュレーションとしては不備であり、ジャーナリストとしても稚拙であった」というコメントがありましたが、何より内覧会等で展示を見た美術やジャーナリズムの専門家の多くから、高評価をいただいてる事実があります。
キュレーションやジャーナリズムとして至らない部分があったことは認めますが、「情の時代」という展覧会全体のコンセプトを博物館的に補完する一企画としては、「稚拙」と言われるほど低いクオリティではなかったと思います。
この点は、僕とともに国際現代美術展を実現したキュレトリアルチームに対して大変失礼な発言にあたりますので、実際に展示を見た美術・ジャーナリズムの専門家の意見を伺いたいところです。
同時に思うのは、十分にキュレーションできていれば、十分に事前告知できていれば今回の事態は回避できたかという疑問です。
今回苛烈な抗議や脅迫をしてきた人のほとんどは実際に作品を見ず、一部分だけを切り取って今回の展示を問題視しています。
この背景には、政治家による度を超した文化事業への介入発言や、歴史修正主義的な言説の跋扈があることは明白です。
今回の件でガバナンスの問題があったことについては重く受け止めますが、キュレーションの問題を過度にクローズアップするのは、この騒動の背後にある本質的な問題を覆い隠してしまうのではないかと考えます。
2019年9月17日
あいちトリエンナーレ2019芸術監督
津田大介
https://twitter.com/5chan_nel (5ch newer account)
