◆ 警察から運ばれてきた「盗まれた仏像」

和歌山県田辺市の人里離れた集落にある「華蔵寺」。
この日、本堂に地元の人たち約40人が集まった。

和歌山県警の捜査員が4人がかりで運んできたのは、 寺から盗まれていた「釈迦如来坐像」だ。
寺では今年2月ごろ5体の仏像が盗まれたが、8月、この仏像だけが見つかり、約半年ぶりに寺に返還されたのだ。

地元住民:
良かったありがたいです。

地元住民:
よりどころだと思いますね。あって当たり前の存在だと思うので。

人々の心の拠り所である仏像を狙う盗難事件。
その背景には何があったのか。

◆ 費用面から警備が手薄…狙われた「無住寺」

仏像はどのように盗まれたのか、取材班が被害の実態を尋ねると…

華蔵寺・九鬼聖城 住職:
持ち上げたらガタッと外れる状態だった。(建物の)雨戸を外して入ってった。
盗られたのはここの仏さん。黒く跡形ありますが。脇の3体が並んでたんです。
位牌もきれいにどけてました。倒すことなく。あっけにとられるしかなかったですよね。
あるものがない、あぁと…

寺は50年ほど前から無人で管理しているいわゆる「無住寺」。
集落の過疎化や檀家の減少のほか、費用面で防犯カメラの設置もできず、管理が難しくなっている。

和歌山県の南部や隣接する三重県では「無住寺」を狙った仏像盗難が多発。
地元関係者などによると、おととしから今年まで十件以上発生している。
4月に取材した和歌山県白浜町の「梵音寺」でも、町の指定文化財の仏像が被害に遭った。

梵音寺・小松原昭太総代長:
大切な物は大切な物だが、高価な物という意識はあまりなかった。

仏像はその後、国道沿いの脇に 無残に捨てられていた。
この2つの事件は8月、急展開を迎えることとなる。

「華蔵寺」と「梵音寺」の仏像あわせて6体を盗んだとして、古美術商で韓国籍の山口諭こと崔諭容疑者(45)と、知人の木田秀孝容疑者(43)が逮捕されたのだ。
捜査関係者への取材で、主犯格の崔容疑者は転売する目的で、東京の買取業者に出向いたが、盗品だと怪しまれたため、放置したり、関係先で保管していたことが明らかに。

崔容疑者の店を訪ねると…

記者リポート:
古美術商の男が経営していた店です。現在閉店しているんですが、中を見ると、皿などの骨とう品はあるんですが、仏像はありません。

盗んだ仏像を…ネットオークションに出品
盗んだ物をどのように転売していたのか。
店の常連客で、古美術に精通する男性に話を聞くことができた。

古美術関係者:
(店内に)仏像は一点もなかったです。足のつくものと混ぜて足のつかないものの区別はついたみたい。
100万、200万円と盗品でも値が付くので、そういうのは置いてなかった。

男性によると、仏像は素材などに特性があり、古美術に詳しい人が直接見れば、盗品だとわかるという。
そのため、崔容疑者は写真でしか見ることができないインターネットオークションで多数出品していたとみられるのだ。

古美術関係者:
ここら(南紀)では買い叩かれる。オークションならもう少しいけるわけです。
全国ネットやから、買う人の財布の厚みがある。

さらに、男性は崔容疑者から美術品の盗みを打ち明けられたことも…

古美術関係者:
軸盗んで骨董屋に持っていったと。
お前盗んできたんか?っ言ったら『うん』と、買ってくれたというから。
買う方も10分の1の値段で買えるからそういう商いの連続だったと思う。

崔容疑者らの関係先からは仏像以外に大量の美術品が見つかり、盗難品が多数含まれている疑いがあるという。
逮捕された容疑について「そんなに多くの仏像は盗んでない」と供述している崔容疑者。
返還された仏像を買取業者が怪しんでいなければ、警察も関係先から押収できていなかったかもしれない。

◆ 仏像を取り返せても…「残る課題」

一方、専門家は窃盗犯を検挙し仏像を取り返せたとしても、深刻な課題があると指摘する。

☆ 続きは下記のソースでご覧ください
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190929-00010003-fnnprimev-soci&;p=1
https://amd.c.yimg.jp/im_siggGNrv39b2h1_e8r._i7zY3w---x900-y506-q90-exp3h-pril/amd/20190929-00010003-fnnprimev-000-1-view.jpg