0001しじみ ★
2019/09/29(日) 21:03:26.23ID:oByNEMrl9世界で最初に哺乳瓶を使い始めたのは、約7000年前のヨーロッパに住む人々だったとされている。新石器時代が始まり、狩猟採集社会から定住生活をする農耕社会へと移り変わる時期のことだ。
これまでに発見されたそうした小さな土器は、細い飲み口と、ときに動物に似た楽しい形をもち、乳幼児の手に収まっている様子を容易に想像できる。では、子どもたちはそのような容器から一体何を飲んでいたのだろうか？
このほど、先史時代の哺乳瓶に付着した物質をはじめて特定した研究結果が、9月25日付けで学術誌「ネイチャー」に発表された。論文によると、少なくとも3000年前のドイツ南部のいくつかの共同体では、おそらく離乳を進めるにあたり、乳児に動物の乳を与えていたようだ。
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■先史時代の離乳食
離乳は、個人にとって重要な節目であるだけではない。集団レベルでも、社会の発達に大きな影響を及ぼしてきた。
狩猟採集民は、子どもが5歳程度になるまで母乳を与え続けることがあった。一方、新石器時代のヨーロッパに暮らした初期の農耕民は、おおむね子どもが2〜3歳頃になるまでに離乳を終えていたことが、安定同位体分析を利用した研究によって示されている。授乳中の母親は妊娠しにくいため、早期に離乳することで、母親がより多くの子を産めるようになった。その結果、出生率が上昇し、人口の大幅な増加につながった。
だが、その時代の子どもが離乳食として何を飲み、何を食べていたかを示す直接的な証拠は、これまで見つかっていなかった。
論文の著者である英ブリストル大学の生体分子考古学者ジュリー・ダン氏は、農耕牧畜社会になって家畜を飼育していた人々が、乳児に動物の乳を与えるようになったとしても不思議ではないと考えていた。
この仮説を検証するため、ダン氏らはドイツの遺跡で出土した3点の土器の哺乳瓶から、内側に付着していた残留物を採取して分析した。1点はアウグスブルク近郊にある青銅器時代後期の共同墓地（紀元前1200〜前450年）の乳児の墓から出土したもので、2点はディートフルトの鉄器時代の共同墓地（紀元前800〜前450年）に乳児の遺体とともに埋葬されていた。乳児の墓から出土した容器ばかりを選んだのは、容器と乳児の関連を確実なものにするためだ。
化学分析の結果は、ウシ、ヤギ、ヒツジなどの反すう動物の乳に由来する脂肪が含まれていることを示していた（ダン氏によると、どの動物の乳かは特定できないという）。
論文によれば、乳児に動物の乳を与えることには深刻な健康上のリスクがあり、母乳と完全に置き換えるには適していなかっただろうという。例えば牛乳の脂肪は、母乳よりも消化されにくい。また、動物の乳は、免疫系がまだ弱い乳児を病原体や感染症にさらすことにもなる。さらに、土器の哺乳瓶には小さな孔が無数にあるため、掃除が行き届かず、細菌が増殖しやすかったはずだ。
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ナショナルジオグラフィック日本版サイト
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