2019/11/3

1.NGT裁判と山口真帆氏の立ち位置

◆関連記事https://headlines.yahoo.co.jp/articlea=20191101-00015183-bunshun-ent
(中略)
「山口が指摘した通り、写真は裁判の証拠資料として提出されているものです。AKSは写真の出所について関与を否定していますが、スポニチといえば『AKB新聞(月刊AKB48グループ新聞)』の販売元で、AKSとスポニチの両者が蜜月関係にあるのは公然たる事実。AKSはくだんの写真よりもさらに強い証拠を準備しており、二の矢、三の矢として提出する予定だと言われています。
(中略)

2.証拠資料は横流しされたものか?
(中略)
 要するに、訴訟記録は、閲覧は誰でもできるものの、謄写(コピー)は当事者又は利害関係者しかすることができないという制度設計になっています。

 スポーツ新聞が訴訟に利害関係を持っているということは普通は考え難いため、訴訟資料の写しを入手したのだとすれば、AKSが故意に流出させたのかまでは分からないにしても、当事者(AKSもしくは被告)のルートか利害関係人のルートに限られてきます。

3.プライバシー保護の仕組み
(中略)
 訴訟記録のうち秘密記載部分の閲覧等の請求をすることができる者を当事者に限るように申し立てることができます。これを受けて裁判所が閲覧等の制限を認めれば、第三者は秘密記載部分を閲覧することができなくなります。
しかし、こうした措置を申し立てる資格があるのは、訴訟当事者だけですし、閲覧等の制限は当事者の私生活上の秘密等を保護するもので、第三者・部外者のプライバシーの保護が図られる設計にはなっていません。本件の裁判の当事者はAKSと被告犯行グループであり、山口氏の情報が「当事者の私生活上についての重大な秘密」といえるのかは条文の文言との関係で疑義が生じます。

 また、それを措くとしても、AKSや被告犯行グループが閲覧等の制限を申し立てなければ、訴訟記録を誰でも見れる状態は解消されません。

 つまり、山口氏は、関係者であるにもかかわらず、興味本位で訴訟記録を見るなということが言いにくい立場に置かれています。

4.本件に関して言えば、訴訟で真実が捻じ曲げられる可能性がある

◆関連記事https://www.tokyo-sports.co.jp/entame/akb/1467066/
(中略)
 被告となった二人が、事件についていい加減な事実主張をしたとしても、当該主張の真偽を山口氏に直接確認することができなければ、有効な反論を打ち出すことに難渋するのではないかと思います。(中略)
5.山口氏のような立ち位置にいる人の法的保護はそれでいいのだろうか?

 報道だけでは請求原因(損害賠償請求権の発生を根拠付ける具体的な事実)を把握しづらいため、上記の事実がどのような意味を持っているのかはよく分かりません。

しかし、山口氏のいないところで原告が

「メンバーが犯人をけしかけて、犯行が行われたというのは、山口氏の妄言だった。」と主張し、それに被告側が乗っかって、

「はい、自分たちもメンバーが私達をけしかけたなんて言っていません。山口氏がAKSさんに何と説明したのかは、自分たちの知ったところではありません。『メンバーからけしかけられた』云々の私達の発言が加害行為であるとのご主張であれば、そのような加害行為は存在しないことから、損害賠償を請求されるいわれはありません。」

と主張してきたら、どうなってしまうのだろうかと思います。

 報道によると原告はお金を回収することにはそれほど強いこだわりはなさそうですし、原告と被告との合作により、山口氏を蚊帳の外に置いたまま、山口氏が先走って変なことを言ってしまったという「真実」が作られてしまわないかが危惧されます。

 確かに、理屈のうえでは、AKSの犯行グループに対する損害賠償請求権が存在しようがしまいが山口氏の法的な立場とは関係がありません。しかし、人気商売である方にとっては、裁判所でどのような事実認定がされるのか、それがどのような報道をされるのかは極めて切実な問題だと思います。

 報道によると、裁判所は非公開審理を提案するなどの手当を講じようとしたようですが、原告AKSは公開法廷でのやりとりを望んだようです。訴訟記録の問題にしても、自分のいないところで「真実」っぽいものが衆人環視のもとで議論されて行くのも、大変気の毒な立場だなと思います。こうした方の保護に関しては、何等かの立法的な手当が図られても良いのかも知れません。https://sskdlawyer.hatenablog.com/entry/2019/11/03/005508