米軍岩国基地の海兵隊 飛行中に手放し操縦 “自撮り”や読書も
2019年11月5日 18時50分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191105/k10012164791000.html

アメリカ軍岩国基地の海兵隊の複数のパイロットが、飛行中に操縦かんから手を放して自分の写真を撮るなど規律に違反する行為をしていたことが、重大事故をきっかけにまとめられたアメリカ軍の調査報告書で分かりました。

調査報告書は去年12月、高知県沖で山口県の岩国基地所属の戦闘攻撃機と空中給油機が接触して墜落し、6人が死亡した重大事故をきっかけに、岩国基地の航空機部隊を統括する第1海兵航空団がまとめました。

報告書では、岩国基地所属の複数のパイロットが操縦中に酸素マスクを外したり読書をしたりしていたほか、操縦かんから手を放してその様子を撮影するなどしていたと指摘しています。

また、事前の許可が必要な睡眠導入剤の無断使用やアルコールの過剰摂取なども行われ、「部隊で規律が乱れていた」と指摘しています。

そのうえで報告書では、3年前の平成28年に沖縄県沖で起きた岩国基地の戦闘攻撃機と空中給油機による接触事故について適切な調査が行われ、再発防止策を講じていれば、去年12月の高知県沖での接触事故を防げた可能性があると指摘しています。

規律違反をしたパイロットたちはすでに処分を受けているということで、岩国基地を管轄する沖縄のアメリカ海兵隊第3海兵遠征軍は「事故後の調査で危険な要素を特定し、規律が守られることの必要性を再確認できた」とコメントしています。

岩国市長「大きな怒りと憤り」
アメリカ軍岩国基地の海兵隊のパイロットが規律に違反する行為をしていたことについて、山口県岩国市の福田良彦市長は「大きな怒りと大きな憤りを感じたし、安全教育の徹底が現場では浸透していなかったと思わざるをえない」と述べ、アメリカ軍の安全管理に疑問を呈しました。

そのうえで、「市民も大きな不安を抱いている。今後どのような改善や見直しがなされていくのか、確認していきたい」と述べ、岩国基地の司令官に電話で安全管理の徹底を申し入れる考えを示しました。
山口県知事「言語道断」
アメリカ軍岩国基地の海兵隊のパイロットが規律に違反する行為をしていたことについて、山口県の村岡嗣政知事は「とんでもない行為で言語道断だ。安全運航への意識の低さが表れている」と非難しました。

また県が先月、去年12月の接触墜落事故の調査結果について防衛省から説明を受けた際、規律違反の具体的な内容については言及がなかったことを明らかにし、「情報はしっかりと伝えていただきたい」と不快感を示したうえで、国に改めて安全対策の徹底を求めていく考えを示しました。
防衛相「米軍はきちんと対応を」
河野防衛大臣は記者会見で「事故に関わる情報の共有をきちんとやることが日米同盟の維持にとって前提条件だ。『安全に最大限の配慮を払う』というのは当然のことで、アメリカ軍に、きちんとした対応をしてもらう必要がある。地元への説明という観点からも、どういう対策をとって、どのように規律が守られているか、把握していきたい」と述べました。

外相「地元不安 あってはならず」
茂木外務大臣は記者会見で「アメリカ側から、マニュアルの見直しや管理体制の改善に取り組んでいると説明を受けている。米軍機の飛行の安全確保は米軍が駐留するうえでの大前提で、地元に不安を与えることがあってはならない」と述べました。そのうえで、「安全性の最大限の確保を先週、インド太平洋軍の司令官が私を表敬した際にも申し入れている。引き続き、安全面での最大限の配慮を強く求めていきたい」と述べました。