「日本CCS調査」(東京)は25日、北海道苫小牧市沖の海底の地中に、地上の排出ガスから分離した二酸化炭素(CO2)を封じ込める技術(CCS)の実証試験で、22日、計画していた30万トンのCO2の圧入に成功したと発表した。

 地球温暖化対策の一つで、大量のCO2の圧入に成功したのは国内で初めて。試験を委託した経済産業省などは実用化を検討する。

 試験では、隣接する出光興産北海道製油所の排出ガスをパイプで引き込み、ガスの約半分を占めるCO2だけを取り出す。その後、海底に向けて斜めに掘り下げた井戸を通じ、圧縮したCO2を海底下の深さ1100〜1200メートルと2400〜3000メートルに送り込んで封じ込めた。懸念されたCO2の流出はなく、監視を続ける。

送り込む地層は隙間の多い砂岩などからなり、上層の密閉性の高い泥岩が蓋になることから、苫小牧沖が試験地に選ばれた。2012年に施設建設などが始まり、圧入が始まったのは16年4月。当初は今年3月に完了するはずだったが、昨年9月の北海道地震などで作業が停止して遅れた。

 国内では00〜06年度、新潟県長岡市で1万トンを圧入する試験が行われた。地球温暖化対策として期待される技術で、経産省地球環境対策室は「封じ込めの状況を分析し、実用化の道を探っていきたい」としている。

 日本CCS調査によると、CCSは米国や豪州、北欧などで既に実用化されており、大きな施設では年間300万〜400万トンの処理能力があるという。

 苫小牧市の岩倉博文市長は「得られたデータや知見は今後、CCSの展開の中で重要な役割を果たすと思う。低炭素社会の構築に向け、苫小牧市が先導的な役割を担えるよう、引き続き、市民らの理解促進に努めたい」と談話を出した。

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