野生動物による農作物被害や人が襲われるケースが目立つ一方、野生動物を捕獲する猟友会員は高齢化で全国的に減少傾向が続き、山梨県内でも免許取得者が減っている。
ところが、女性の取得者は逆に急増しており、わな猟免許は10年前の10倍を超える勢い。
なぜ今、女性が狩猟なのか。同県南アルプス市で開かれた「野生鳥獣セミナー」を取材した。
【山本悟】

 セミナーは、山梨県と同県猟友会(甲府市)が今月10日に開催した。獣被害の防止に、地域が一体となって取り組む機運を高めるのが狙い。
散弾銃や空気銃、わなを手に、操作方法を猟友会員から教わる模擬体験や鹿肉カレーの試食会があった。

 また、ニホンジカの毛皮やクマの足裏の剥製などの展示や、ドローンで鹿の居場所を特定する新技術についての講演会もあり、県内外から約250人が参加した。
女性や中高生、大学生ら若年層が目立ち、関心の高さをうかがわせた。

 県の統計によると、銃とわなの狩猟免許の取得者総数は2008年度は延べ4196人だったが、10年後の18年度は延べ3518人に減少。
ただ、女性の取得者は28人から130人と4・6倍に増加。
特に7人だったわな猟免許の女性取得者は、昨年度は10・6倍の74人となった。

女性の取得者は約10年前から増えている。
増加の要因について、県はジビエブームを背景に狩猟が注目されたことや、猟を題材にしたコミックが登場するなど狩猟が身近になっていることを挙げる。

獣害防止に農家の女性や地域の女性が取得するケースも増えているという。

高校1年の長女(15)を同伴し、空気銃の扱い方を教わっていた山中湖村平野の会社員、中村麻里さん(47)は、

自然と人の暮らしの隔たりを敏感に感じ取る女性が増えていると指摘する。

「動物の命を絶つ瞬間に立ち会わず、頂く命に感謝することもなく食べ、余った食料を捨てる現代の生活を全否定することはできない。
けど、違和感を感じ自分が食べる肉は自分で調達したいと思い、狩猟に興味を持つようになった」と参加した動機を語った。

 さらに「自然の中で、(食物連鎖のように)生き物の命は全部つながっていて、自分の命も他の生き物の命に支えられている。
その命に感謝する心を持つことで、他の生き物や人の命を大事にすることができるのではないか」と話した。

11/27(水) 12:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191127-00000024-mai-soci

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